記事

事業者
埼玉県土木施工管理技士会

土木施工管理技士会が県土整備部と技術懇談会

2020/02/13 埼玉建設新聞

 埼玉県土木施工管理技士会(松本泰典会長)は5日にヘリテイジ浦和別所沼会館で県土整備部との技術懇談会を開いた。技士会は総合評価方式の土木Ⅰ型などで「継続教育(CPD)の取組み」を加点してほしいと強く要望。また積算の条件明示、設計図書の品質向上などについて、受発注者双方が対等な立場で議論し、前進させる考えを共有した。

 冒頭に松本会長は「人口減少と著しい少子高齢化を迎える時代に入ってまいりました。重要な課題である担い手の確保や、働き方改革による現場の改革が必要となっています」と述べ、ICTを活用して生産性を向上させることの重要性を唱えた。

 一方、県土整備部の新井哲也建設管理課長は昨年10月の台風19号で被災状況の調査などに会員企業が果たした役割について謝意を示した。その上で現在取り組んでいる災害復旧工事を迅速に進めることの重要性を強調。背景には不調・不落が発生すると工事完了が3カ月程度遅れ、特に河川工事などでは6月の出水期に間に合わなくなってしまうという懸念がある。昨年12月に総合評価方式での加点、工事成績での評価、技術者配置の緩和、検査書類の簡素化と、できる限りの不調・不落対策を打ち出したことを紹介した。

 また働き方改革と生産性向上に向けて、労務費と機械経費などを加算補正する週休2日モデル工事に取り組んでいることや、ICTで小規模な土工に対応するための積算基準の新設を行い、普及拡大に努めていること、さらには設計変更ガイドラインに基づく円滑な設計変更協議を重視する考えを伝えた。

 意見交換でまず技士会は、総合評価方式における「継続教育(CPD)の取組み」の加点を要望。18年度のガイドライン改訂で、簡易型の評価対象から外された状態となっている。現場で使用する技術は進化しており「適切に対応するための継続学習は必要不可欠」との考えから、次回の改訂では土木Ⅰ型などで評価対象に設定してほしいと求めた。

 建設管理課では「CPDの重要性は認識しており、業界や総合評価審査委員会の意見を聞きながら検討しているところ」と回答し理解を求めた。

 また積算の条件明示についても意見を交わした。物価資料に品名、規格などを明示してほしいと求めた技士会に対し、同課では「公平性の観点からどうしてもメーカ名などは明示しにくい」としつつも、わかりやすい表記に努めると答えた。積算時の全体工程表の開示については、今後の検討課題と回答。これに対して技士会は「週休2日など適正な工程計画を策定するうえでも重要であり示していただきたい」(山口勝技術顧問)と重ねて要望した。

 フリー討議では山口技術顧問が▽河川内(低水路)の橋脚施工における仮締切の形状▽施工ができない設計図面(カルバート・ボックスの補強工)▽河川工事で大型土のうを採用した瀬替えや仮締切▽土留め壁の仮設設計――について、技術的な観点から説明、県に改善を提案した。最後は根岸清志副会長が県側の丁寧な回答に感謝の言葉を述べ「今後が楽しみ」と締めくくった。

記事資料

紙媒体での情報収集をご希望の方は
建設新聞を御覧ください。

建設新聞はこちら