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栃木県宇都宮市上下水道局

宇都宮市方針、管理、沈砂池ポンプ棟を改築、食肉卸売市場跡地が拡張候補地

2020/02/20 日本工業経済新聞(栃木版)

 宇都宮市上下水道局は、下河原と川田水再生センターの再整備方針を固めた。施設の強靭化や下水処理の効率化を図るため、川田水再生センターの各施設の耐震化と併せて両センターの機能を再構築。下河原の汚水処理機能を川田水再生センターに統合する。川田水再生センターでは管理棟や沈砂池ポンプ棟を建て替え、水処理施設の耐震補強を実施。隣接の食肉地方卸売市場跡を拡張用地の候補地に再整備する。下河原水再生センターは汚水中継ポンプ場とし、ポンプ棟や沈澱池を整備する考え。事業期間は約20年。新年度は事業手法の検討や下河原水再生センターの基本設計を進める予定。

 下河原水再生センター(下河原1丁目)は市中心部が主な処理区域で1965年度に供用。54年が経過して各施設の老朽化が著しく、昨年10月の台風19号では地下の汚水ポンプや電気室が冠水して電源を喪失する被害が発生した。処理人口は約4万7000人。

 川田水再生センター(川田町)は1978年度に供用。分流式(一部合流含む)で処理人口は約29万3000人。台風19号では河川からの越水によって管廊など地下施設が浸水した。

 両施設で市内の約7割の下水を処理。いずれも田川沿いに立地している。近年の大規模災害の発生によって下水道機能の確保に対する関心が高まっており、再整備で老朽化や耐震化の課題に対応。将来の人口減少を見据えた適正な規模として下水処理の効率化を図る。

 川田水再生センターの耐震化は、各水処理施設の内側にコンクリートを打ち増しする手法を想定。水槽の容積が減り処理能力が減少するため、新たな拡張用地に2系列を増設。

 管理棟は中央監視室や自家発電室、汚泥処理設備などを包含し、沈砂池ポンプ棟も耐震補強が困難なため改築。新たな拡張用地に管理棟と汚泥棟、沈砂池ポンプを整備する。現在の敷地にも沈砂池ポンプ棟を整備。10系列目の水処理施設として反応タンクと最終沈殿池を増設する方針。

 拡張用地は北側隣接地。食肉地方卸売市場は栃木県畜産公社が芳賀町に整備している新食肉センターの開設に伴い廃止される予定となっている。

 下河原水再生センターは合流式。汚水を受け、川田水再生センターに送水するポンプ棟を整備するほか、雨天時の沈澱池と消毒施設を設置。送水管は既設幹線を利用する計画。

 工事にあたっては処理施設などに蓋をするなど臭気対策を講じ、周辺の環境に配慮する。

 新年度からは下河原水再生センターの基本設計や民間活力導入を含めた事業手法の検討を進めていく方針。

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