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栃木県足利市

足利市 公営住宅長寿命化計画、年間75戸を全面改修、来年度は新山町で給水工

2020/06/10 日本工業経済新聞(栃木版)

 足利市は、公営住宅等長寿命化計画を策定した。計画期間は2020~29年度までの10年間に設定。21年度は新山町が長寿命化型の給水ポンプや受水槽改修を施工。室内は初年度から最終年度まで滝の宮、五十部西山、百頭町、島田町、堀込町の5団地で年間15戸ずつ居住性向上型や福祉対応型の全面的な改修工事を実施。計画期間内を通じ滝の宮、五十部西山、堀込町の3団地で長寿命化型の屋上や外壁の改修工事に取り組む。28~29年度で建て替える春日団地は60戸に規模を縮小する。(2面に6団地の住棟別改善計画)

 市は25団地136棟2190戸の公営住宅を管理。内訳は市営住宅24団地135棟2114戸、特定公共賃貸住宅2団地12戸、特定賃貸住宅1団地1棟64戸、県営住宅9団地38棟876戸。他市と比べ保有割合が高く、適正な管理戸数を導いた。

 耐用年数を過ぎた住宅は57棟346戸あり、計画期間内に耐用年数を経過する住棟を含めると全体の半数を超える。長寿命化改善によるライフサイクルコスト(LCC)縮減の結果、年間3127万1000円のLCC縮減効果が期待できる。

 10年後に最低限度確保するストックは1357戸と推計。これに住宅確保要配慮者世帯を加え、供給目標管理戸数は1982戸とする。管理手法は維持保全882戸、個別改善732戸、計画修繕308戸、用途廃止132戸、建て替え60戸。

 維持保全は長寿命化を想定しない経常的な小規模修繕、個別改善は老朽化した建物や設備機器の居住性や耐久性を向上、計画修繕は修繕周期に基づく改善を指す。管理手法が維持保全の住棟は順次募集を停止し、計画期間以降の用途廃止を検討する。

 改善計画は①居住性向上型(浴室換気扇設置、外壁や屋根改修、排水処理施設整備)②福祉対応型(住戸、共用部、屋外のバリアフリー化)③安全性確保型(避難設備や経路、耐震性、耐火性)④長寿命化型(耐久性向上、躯体への影響低減、容易な維持管理)に分類。

 毎年15戸の室内を改善する5団地は、新耐震基準を満たす住棟の空き住戸を対象に施工する。屋上や外壁改修の長寿命化年次別改善計画は20年度が滝の宮、21~24年度は五十部西山、25~27年度は滝の宮、28~29年度は堀込町を改修する。

 春日は02年に完成した比較的新しい1棟90戸を計画修繕で維持。他の住棟は1967~69年に完成し、いずれも築50年以上が経過。22棟124戸は劣化が著しく居住水準が低いため、28~29年度で建て替える。順次用途廃止を進め、60戸に集約する。

 大橋町の簡易耐火構造3階建て2棟36戸、田中町の簡易耐火構造平屋建て2棟12戸、江川町の簡易耐火構造2階建て4棟20戸は用途を廃止する。これら団地は市内団地の中でも建設年次が古く、築58~68年が経過。耐震診断も未実施の状況。

 維持管理対象団地は団地や住棟単位で整理し、劣化調査、定期点検、日常点検結果をカルテ形式、データベース形式で管理。住棟単位の修繕・改善履歴データを整理し、不具合発生原因の検証に役立てる。対症療法的維持管理から予防保全的な耐久性向上につなげる。

 25団地は災害危険性の高い場所には立地しておらず、新山町と中橋ハイツが敷地の一部を借地する以外は市有地。敷地面積は山下町の190・8平方mが最小で、新山町の1万3411・6平方mが最も広い。新耐震基準以前の住棟は102棟1244戸。

 簡易耐火構造2階建てが53棟(39・1%)、耐火構造5階建てが44棟(32・4%)と7割超。住戸規模は50~60平方mが738戸(33・8%)、60~70平方mが596戸(27・2%)、40~50平方mが421戸(19・2%)の順。

 計画期間内に耐用年数を経過する住宅は18棟104戸。入居住戸は1570戸(入居率69・9%)、政策空き家は109戸。高齢者世帯が867(56・7%)、全員が65歳未満の一般世帯が663(44・3%)。高齢者は単身者が457(52・7%)で最多。

 集会所、児童遊園とも13団地(52%)、駐車場は20団地(80%)、駐輪場は22団地(88%)に整備されている。給水は加圧13団地(52%)、直圧7団地(28%)、高架水槽5団地(20%)、排水先は公共下水道が22団地(88%)を占める。

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