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栃木県佐野市

佐野市 みかもクリーンセンター、基幹的改良で長寿命化へ、稼働継続を町会に提示

2020/06/18 日本工業経済新聞(栃木版)

 佐野市は、ごみ処理施設「みかもクリーンセンター」(町谷町206-13)の基幹的設備改良実施により稼働を継続する方向性を決定した。庁内検討委員会が移転新築と基幹的設備改良を比較検討した結果、現在地の継続使用が適当と判断。地元町会に設置期間延長の意向を申し入れ、理解と協力を求めた。町会の合意形成が得られ次第、市は設備機器の劣化状況に応じ数年後には基幹的設備改良工事に着手する方針。

 新施設建設費は現施設と同規模の場合、210億円が必要と試算。現施設を基幹的設備改良工事で延命化する場合、大規模修繕費は最大で60億円に抑制できる。新設の場合は改良工事の3・5倍の経費が必要。長期の建設期間と多額の財政支出は困難な状況。

 みかもクリーンセンターは2007年3月の稼働開始以来、13年が経過する。06年9月に地元3町会(町谷、黒袴、関川)と協定書を締結し、施設の設置期間を20年間とすることを合意。その後の施設の在り方は市と地元3町会で協議することを確認した。

 ごみ処理政策は市民生活の根幹にかかわる課題であり、18年度に庁内検討委員会を設置。中長期な視点での計画立案が不可欠なため、前倒しで検討を開始。①施設の現況②周辺地域への影響③建設費用と財政状況④行政運営上の合理性-から結論を導いた。

 庁内検討委は5回開催し①20年経過後も基幹的設備改良による安定稼働が可能②環境モニタリング調査結果は国の規制値よりも大幅に抑制③使用可能な施設を廃止し、新施設を建設するのは合理性に欠け、市民の理解は得られない-という意見が多数を占めた。

 みかもクリーンセンターは敷地面積2・9ha。佐野地区一帯のごみ処理を目的に04年6月に着工。焼却処理施設は24時間連続運転方式の流動床式熱分解ガス化溶融炉を採用。日量64㌧を処理する2炉を配し、日量処理能力は128㌧。煙突高59m。

 ごみ焼却過程で発生した熱エネルギーは回収し、構内発電や余熱利用施設「みかもリフレッシュセンター」へ高温水を供給。屋内温水プール、温浴施設、トレーニングルームで構成する複合施設を整備。地域の活性化と市民の健康維持増進に役立てている。

 リサイクルプラザは1日当たり5時間運転し、日量22・6㌧の不燃、粗大、缶、瓶、ペットボトル、紙、衣類、有害ごみを選別処理する。リサイクル棟で破砕、選別、減容、貯留。管理棟・プラザ棟は再生、補修、展示、保管室、体験工房を備える。

 みかもクリーンセンターは着工に先立ち「新清掃センター建設市民100人委員会」を発足。市民目線で安全性を検証し、市が機種選定や整備計画を策定。市民と行政が一体となってごみ処理問題に取り組み、佐野新都市の佐野みかも台産業団地内に建設した。

 県内のごみ処理施設設置期間は、稼働から20年程度が一般的。その後の稼働継続や移転新築については地元自治会との協議の場を設けるのが通例。過去には別自治体で協定内容を巡り、住民と行政が対立。歩み寄りがないまま、とん挫に追い込まれた例もある。

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