記事

事業者
新潟県新潟市

施設は新設から再編へ財産経営推進計画の改定着手

2020/07/15 新潟建設新聞

 新潟市は、公共施設の総量、コスト縮減へ維持管理、運営を進めるため財産経営推進計画の改定に着手した。公共施設の将来的な更新費用の大幅な不足を見据えて、公共施設のコスト縮減、統廃合・集約化などの検討を進める。合併建設計画による施設の新設から、今後は再編事業が中心となる。

 市内には1824施設、延べ床面積約270万㎡の公共施設があり、全ての施設を標準的な周期で建て替えや改修を行うには、今後50年で約1兆2000億円、年間平均245億円が必要となる。また建て替え周期80年の長寿命化を進めた試算でも50年で、8988億円、年平均180億円を試算する。これまでの年間平均投資実績(121億円)を踏まえると、標準で124億、長寿命化シナリオでも59億円の財源不足が生じる見込みで、施設の総量削減が求められている。

 これまでに中学校区単位の55地域ごとに公共施設のあり方を示した地域別実行計画を策定しながら施設の再編を推進しており、4地区で計画を策定。計画に基づき潟東地区統合小中学校整備や、北区区役所の旧庁舎を活用した葛塚コミュニティセンター整備、江南区市営住宅跡地での周辺保育園の統合民営化など施設の再編事業が進んでいる。

 ただし地域別実行計画の策定予定55地区に対し策定済みが4地区のみと、策定スピードの問題をはじめ、地域ごとの公平性、全市的な施設についての検討などの課題があることから、総合的な公共施設、インフラ資産管理の基本方針を示した財産経営推進計画を改定することで取り組みを加速させる。

 施設再編の考え方として昨年度末にまとめた「公共施設の種類ごとの配置方針」では、大規模ホール施設や美術館、博物館など市を代表する15施設は施設種類ごとに1施設。文化会館や公民館など各区単位で拠点となる167施設は施設種類ごとに集約化・複合化。コミュニティ施設、ひまわりクラブ、児童館、幼稚園、小中学校など地域密着型の施設は、誰もが利用できる施設は将来的に原則1カ所、博物館、資料館など特定目的の施設は、複合化・集約化を地域と検討する方針。

 6日には有識者会議の初会合が開かれ、計画の中核となる施設の再編案や管理、運営手法の改善などの検討を行った。今後9月に開かれる次回会合で、再編案策定の判断指標を協議し、3月の第3回で再編案を示す。来年度は総量の削減目標の設定や管理運営手法の改善などを協議。2021年度末に新しい財産経営計画の成案化し、公共施設の最適化へ中長期的な取り組みが進められる。


【写真=有識者会が初会合】

記事資料

紙媒体での情報収集をご希望の方は
建設新聞を御覧ください。

建設新聞はこちら