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【中建審総会】適正工期での請負契約促進へ基準作成

2020/07/21 本社配信

 国土交通省の中央建設業審議会(中建審)の総会が20日に開かれ、改正建設業法で著しく短い工期での請負契約の禁止が規定されたことを受けてワーキンググループで検討してきた内容を踏まえ、「工期に関する基準」を作成した。適正な工期による請負契約の締結を促すため、今後、基準の実施を勧告する。

 工期に関する基準は、適正な工期の設定や見積もりに当たり、発注者および受注者(下請負人含む)が考慮すべき事項の集合体であり、建設工事において適正な工期を確保するための基準となる。

 第1章では、基準を作成した背景や建設工事の特徴、請負契約および工期に関する考え方、基準の趣旨と適用範囲、工期設定における受発注者の責務について記載。工期とは「建設工事の着工から竣工までの期間」を指すと明記した。工期設定における受発注者の責務については、公共工事、民間工事を問わず建設工事の請負契約を締結するに当たっては、適正な工期を設定できるよう契約の当事者が対等な立場で、それぞれの責務を果たす必要があると説明。工期設定における発注者・受注者が果たすべき責務を規定した。

 第2章では、自然要因や休日・法定外労働時間、契約方式、関係者との調整、行政への申請、工期変更など工期全般にわたって考慮すべき事項を示している。

 また第3章では、準備段階・施工段階・後片付け段階の各工程で考慮すべき事項を、第4章では民間発注工事の大きな役割を占める住宅・不動産、鉄道、電力、ガスの4分野に関して分野別の考慮事項を記載した。

 他にも働き方改革・生産性向上を図る上で他社の優良事例を参考にすることが有効であることや、同基準を運用する際に考慮する点として著しく短い工期と疑われる場合の対応や新型コロナウイルス感染症対策を踏まえた工期等の設定などにも言及している。

 同基準は今後の運用状況等を踏まえ、必要がある場合は適宜、見直しなどの措置を講じる予定だ。

 今回、建設業関係団体の委員からは、公共・民間の発注者を含めて基準の考え方を普及させることが必要との意見が相次ぎ、特に市町村を含めた地方自治体への早期浸透を求める声が多かった。


【写真=総会で工期に関する基準の内容を了承した】

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