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災害対応「弊社の強み」/長野国道表彰4件受賞のサンタキザワ

2020/07/22 長野建設新聞

 飯山市の総合建設業・サンタキザワ(福原初代表取締役)が令和元年度長野国道事務所優良工事等表彰で4件受賞の快挙を遂げた。表彰案件には令和元年東日本台風災害の応急対応も含まれている。同社の滝沢卓也取締役土木部長は「千曲川の堤防決壊が全国的なニュースとなり、自衛隊やボランティアの活動も大きく報じられたが、冠水した国道の早期啓開・応急対策に建設企業が昼夜を徹して当たっていたことも知っておいてほしい」と語り、今表彰が建設業の果たす社会的役割の再評価につながることを期待した。

 国道18、19号の道路維持作業を受注していた同社は、長野市穂保で堤防が決壊した10月13日の前日から管理区間の巡視を行っていた。滝沢取締役は「12日は会社に泊まり込み、各所からひっきりなしに来る電話の対応に追われた」と振り返る。

 一方、道路維持作業の現場責任者だった監理技術者・梅村薫氏は「12日の夜、長野市篠ノ井橋付近で発生した冠水に対応していたところ、さらに赤沼での冠水の報を受け、対応中の交通規制などを継続しながら、現場に駆け付けた」

 以後の梅村氏の記憶はおぼろげだ。国道18号柳原北交差点~浅野交差点間が通行止めとなったのは13日午前2時50分。堤防からの越水、そして決壊により一帯が冠水する中、行政機関や協力企業との現場調整を一手に担い、水が引き出した14日から道路啓開作業を開始。通行止めは15日午後10時に解除された。その後も堆積土砂の搬出など24時間体制の作業に追われ、ようやく家に帰れた1週間後、初めて急場をしのいだ実感が湧いた。

 「全てが何も決まっていないことばかり。間違いなくこれまでの現場で最大の修羅場だった。ただ、被災住民の姿を見て、俺たちもがんばらなきゃと感じたことは覚えている」

 滝沢取締役は「弊社は18年の福井豪雪、19年9月の千葉豪雨など、県外への支援協力を通じて広域的な災害対応のノウハウを蓄積している。梅村も14年の神城断層地震で支援協力に入っており、その経験が生きたと思う。資機材はもちろん、そうした災害対応の手法を有していることは弊社の強みの一つ」と話した。

 折しも7月6日からの大雨により県南部を中心に各地で深刻な被害が出ている。被災した現場、その1カ所1カ所の最前線に建設企業がいて、持てる力の限りに奮闘していることを、あらためて県民に伝えたい。

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