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東日本総合計画が創立記念式典と技術発表会開く

2020/07/28 埼玉建設新聞

 東日本総合計画(田垣茂彦社長)は14日、2020年度創立記念式典、技術発表会をウエスタ川越で開催した。田垣社長は第1四半期の業績について、受注、利益ともに目標達成したことを明らかにした。新型コロナウイルスなど厳しい社会情勢の中で達成できたことに対し、役・職員に謝意を示した。その上で「経験と知恵を生かして、働き方改革を一層推進させることで、創立100年まであと33年、新しいTORLXを今日からスタートしたい」と力強く宣言した。技術発表は6テーマが行われ、トップエンジニアリング賞の栄誉には、大塚慧氏(設計本部)による「近年の鉄道耐震設計~基盤面以下の地層の影響と復旧性の考え方~」が輝いた。

 式典・発表会は、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、細心の注意を払って行った。具体的には来場者全員への検温、定期的な休憩時間を設けて換気(扉開放)、微熱のある発表者は自宅からリモートでプレゼンテーションを行うなど、対策を徹底した。

 冒頭に田垣社長は「あす7月15日は東日本総合計画の67回目の創立記念日です。これから始まる2020年度の技術発表会について、今年はコロナの影響で中止も止むを得ないかと思っていました。まだまだ気は抜けませんが、こうして無事に開催することができました。また今期の業績は第1四半期が終わった段階で、目標の受注、利益について達成することができました。厳しい環境下で皆さんが頑張っていただき、新しい働き方も含めて、手探りでやっていく中で計画を達成できたことに感謝を申し上げます。2020年、世界的には新型コロナウイルスの感染拡大が止まるようすがありません。ウイズコロナの環境下でどうやって仕事を進めていくか。手探りで経験のないことなので、みんなで知恵を出し合って乗り越えていくしかないと考えています。第2波、第3波が来ても乗り越えられるように、常に最悪のケースを考えて想像しながら、下を向くことなく、今できる自分たちの最善を柔軟かつ確実に実施していくこと、これ以外に乗り越えられる術はないと思っています」と呼び掛けた。

 そして「一方、新しい働き方、いろいろな生活様式が社会の中で広まってきています。われわれTOREXも、経験や知見、変化の波をどうやって今後のまちづくりの仕事に取り入れていくか、生かしていくかについて考え、まちがどう変わっていくのかを想像しながら、仕事に生かし、ピンチをチャンスに変えることが、できることだと考えています」と述べた。

 続いて永年勤続、目標達成など2019年度表彰者が登壇し、田垣社長から表彰状が授与された。

 技術発表会は小松崎弘道取締役のあいさつでスタート。「今回は実行委員会を設置して準備を進めてきました。発表会の目的は新技術と専門技術の紹介により他部署との相互理解を深めること、そしてプレゼンテーション能力の向上です。TOLEXの社員全員で新たなチャレンジを始めましょう」と述べた。

 基調講演は明治大学公共政策大学院ガバナンス研究科の小林清専任教授が行った。小林教授は元・都庁職員で、知事本局次長、生活文化局長、主税局長などを歴任。石原知事のトップマネジメント補佐(五輪招致、東日本大震災、尖閣諸島など対応)に携わった。

 講演ではロンドン、パリ、ニューヨークなども例に挙げ、世界の大都市圏を紹介。これらと比較しても東京圏のポテンシャルは高く、「そのことを意識することがとても重要です」と述べた。

 また今後のまちづくりでは、国土交通省が打ち出している「コンパクト+ネットワーク」に、コロナ対策の考え方も取り入れることの必要性を指摘。「都市づくりの中に密度をどう考えるか、相当きめ細かく考えていく必要があるのではないでしょうか」とした。

 その後は同社が力を入れているBIM/CIMの事例発表を経営戦略本部BIM/CIM推進チームの二本柳篤氏が行った。自社ブランドとして商標登録している『LIM』について触れた後、地上レーザースキャナ(TLS)計測で「多数の協議が省ける」というメリットを強調。全方位から閲覧可能な3Dモデルにより事業関係者の理解度が向上することを伝えた。

 午後に入り、審査を行う6テーマ(別掲)の発表が順次行われた。各テーマの発表後には質問も寄せられ、発表会の趣旨のとおり、参加者が知見を共有する場となった。

 審査の評価項目は▽新規性▽有用性▽完成度▽発表内容の分かりやすさ▽発表資料の体裁――。各5点、計25点満点で審査が行われ、トップエンジニアリング賞には設計本部鉄道計画・設計部設計課の大塚慧氏による「近年の鉄道耐震設計~基盤面以下の地層の影響と復旧性の考え方~」が輝いた。

 審査委員長を務めたのは経営戦略本部の渡辺孝夫技師長。渡辺技師長は全体的な講評として「独自性、展開力を盛り込んでいただくと、より良くなります。また平素からの業務の中で技術を磨いて、その集大成として臨んでいただければ、さらに良くなります」と伝えた。

 トップの大塚氏の発表内容については、鉄道耐震設計関係の「マニュアルの解釈に幅がある中で、工夫が感じられました。また複雑な話を理路整然と説明していました」と高く評価した。

 6テーマの審査中が別室で行われている時間に、会場では上席専門官講演が行われた。上席専門官は4月に新設したスペシャリストの上位役職となる。まちづくり本部都市再生部の松村法之上席専門官が「市街化編入を伴う土地区画整理事業の考察」と題し、事業完了後における市街化編入の流れなどについて、具体的を示してポイントを説明した。「農地以外の土地を後追い編入する方式について今後も進めます」と同社の姿勢を明確にした。

 閉会あいさつで川上貴廣取締役は「今後のさらなる技術の発展、部署間連携に寄与すれば幸いです」と締めくくった。

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