小山広域保健衛生組合は、休止していた「第2期エネルギー回収推進施設整備事業」(小山市塩沢604)を再始動させた。当初の日量70㌧焼却炉2基の整備計画を見直し、日量90㌧の焼却炉2基に変更。これにより1日当たりの処理能力を140㌧から180㌧に規模を拡大する。今年度は基本設計を国際航業(東京都)に委託した。2021~22年度で建設事業者を選定し、23年度に着工する。工期は当初の3年間から4年間に1年延長し、27年度の稼働を目指す。総工費は約146億2200万円と試算した。
当初計画では17年度に基本設計や生活環境影響調査。18~19年度で建設事業者を選定。19年度は第2期施設予定地となる粗大ごみ処理施設(19年度で停止)の解体撤去。20~22年度の3カ年にわたる建設工事。23年度の稼働目標だった。
小山、下野、野木の2市1町から排出される一般廃棄物処理量が想定を上回ったため、可燃ごみ排出量の推移を見守ってきた。構成市町が足並みをそろえた可燃ごみ減量化対策を講じ、新施設の稼働開始までに年間5000㌧を削減する方策を練り上げた。
18年度の年間排出量は5万557㌧だったの対し、27年度の年間排出量の必達目標値を5万557㌧に設定。構成市町が連携し、可燃ごみ削減に大きな効果を上げている有料ごみ指定袋制度を早期に導入。事業ごみ、家庭ごみの減量化策を徹底する。
併せて石橋地区の可燃ごみの受け入れを開始し、増加分の日量21トンの建設費は下野市が負担。通常の可燃ごみ処理量に加え、災害時のごみ搬入量を考慮した処理能力は日量250㌧と推計。既存施設の日量70㌧焼却炉1基を含め、日量250㌧を確保する。
延期していた粗大ごみ処理施設の解体撤去は、20~21年度の2カ年間で施工。継続費約10億円を予算化した。調査の結果、敷地の一部に基準に適さない土壌があることが判明。基準地以下の地中まで掘削し、掘削土砂は汚染土壌処理施設に搬入する。
17年度の基本設計と管内ごみ減量化計画は、いずれも国際航業が担当。基本設計は動線計画や受電計画を策定。従来型の高圧充電方式から特別高圧充電方式に改める。特定規模電気事業者となり、夜間を中心にごみ発電の余剰電力を売電する。
20年度は電源プロセス負担金約4088万円を措置。再生可能エネルギー固定価格買い取り制度(FIT)適用に向けた売電予定事業者の送電線設備増設工事に備えた。1時間当たり5000kwを発電し、年間の販売額は3億6690万円を見込む。
21~22年度は、ノウハウを持つコンサルタントに建設事業者選定アドバイザリー業務を委託。経験豊かなコンサルタントが実施方針、要求水準書案、募集要項を作成し建設事業者選定を支援する。建設事業者に求める実績、施工水準を作成し、入札を公告する。
近年は設計・施工に運営までを加えるケースが増え、入札公告前までに課題を整理する。可燃ごみを安定的で効率的に焼却処理するとともに、焼却熱エネルギーを回収。高効率発電と省エネ化を同時に実現し、CO2排出量の抑制や環境負荷の低減に努める。
建設期間中は既存の日量80㌧焼却炉2基計160㌧の延命化を図りつつ稼働を続け、第2期施設の供用開始を待って解体撤去する。建設地は約2万平方mを有す中央清掃センター敷地内の一角。敷地内には約1400平方mの屋根付きストックヤードを整備する。