甲斐市の木質バイオマス発電事業で、燃料を供給する予定だった一部事業者が倒産したため、市と事業主体である日立造船との基本協定締結が、先送りになる可能性があることが本紙取材で分かった。市は事業者の選定が大幅に遅れる場合、本年度予定していた造成工事などの実施時期を見直す可能性がある。同社では新たな事業者の選定を急ぐ。
環境課によると、倒産したのは山梨市で林業を営む事業者。同事業における木質燃料の提供業者の1社に決まっていたが、経営の悪化により事業を停止。7月14日付けの官報に同社の倒産情報が載った。日立造船では7月中に、事業実施の可否を決める社内の定例会議に甲斐市の案件を掛ける見通しだったが、見送った。
市は本年度、同社と事業に関する基本協定を結び、用地買収や造成に着手する方針。その設計・工事、登記などの経費として約2億8000万円を当初予算に計上した。同課では今後1カ月程度で新たな林業者が見付からない場合、本年度の予定を変更する可能性がある。ただ同社側からすれば、ことし3月の事業認可から4年以内にプラントを稼働させれば、想定した20年間の売電収益を得ることができるため、まだ計画に余裕はあるとみられる。
事業は市と同社を中心に県内の林業者らとともに木質バイオマス発電施設を建設、運営するもの。市は用地を貸し出すとともに発電における廃熱の供給を受ける。建設地は同市岩森地内。発電量は6950kWhを見込む。