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国土交通省千曲川河川事務所

労災防止へ好事例共有/120人参集、官民一体で大会

2020/09/18 長野建設新聞

 国土交通省千曲川河川事務所が発注する工事の安全・円滑な推進を目的に、受注者と発注者が共同で組織する工事安全対策協議会(会長=齋藤充所長)は16日、建設労働災害防止大会を長野市生涯学習センターで開いた。約120人が参集し、無事故・無災害の誓いを新たにした。

 齋藤会長はあいさつで「当事務所では休業4日以上の重大事故は発生していないが、北陸地方整備局管内における今年1~8月の工事事故件数は前年同月比16件増の55件で、死亡事故も1件発生している」と報告。「現場の安全管理には関係機関と連携した取り組みや生産性向上などを通じた労働環境の改善が重要。管内では緊急治水対策プロジェクトが2027年度の完了を目指し進んでいる。工事の着実な進捗を図る一方で、安全対策には万全を期す必要がある。今大会を契機に安全衛生管理体制を強化し、無事故無災害で工事を完成させていただきたい」と呼び掛けた。

 大会では厚生労働省長野労働局の鳥谷亘安全係長が建設労働災害の現状と課題について講演。

 その後、同事務所の推薦で北陸地整の20年度安全管理優良受注者に選定された傳刀組(大町市)が紹介され、参加者から盛大な拍手でたたえられた。傳刀宗久社長は事務所のきめ細やかな指導に感謝し、「今後も安全衛生活動の充実を図り、安全水準の高みを目指す。安全文化の構築へ精進してまいる」と決意を述べた。


■北條組とフクザワコーポが災害復旧の取り組み紹介

 続いて令和元年東日本台風災害復旧工事の事例紹介として、北條組(長野市)の佐々木慶太氏が「穂保地区堤防緊急復旧その1工事」、フクザワコーポレーション(飯山市)の金井聡史氏が「中野市笠原地区堤防応急復旧その1工事」における取り組みを発表。

 北條組の佐々木氏は「ICT建機を活用した作業の効率化・標準化により、確実な工程調整と期間短縮を図った。また、多くの作業員や重機が錯綜して作業を行うことから、1日1回現場をドローンで撮影し、進捗の把握や作業内容の共有に活用した」と紹介。

 フクザワコーポレーションの金井氏は「出水期前の完成へ工程の短縮が不可欠であった。起工測量から設計、施工の過程でICTを積極的に活用し、さらにデータ作成を含め自社で行うことにより、工程短縮を実現させた。また、ICTの効果を社内で共有すべく、若手社員への講習会も開催した」と話した。


■傳刀組は安全対策披露

 安全対策の事例紹介では傳刀組の須沢勝氏が「小立野地区築堤その3工事」の取り組みを披露。大量の盛土材を搬入するため、経路、時間などの調整を綿密に行ったことや、過積載を防ぐため簡易型車重計測器を用いたことなどを話した。

 大会のおわりには三大災害の撲滅などを盛り込んだ本年度の安全重点目標を確認。「新たな決意のもと、官民一体で建設労働災害の撲滅に取り組む」との安全宣言で締め括った。

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