小山市は近く、城山公園フラワーパーク整備事業第1期工事(城山町1丁目、2ha)の入札契約手続きを開始する。10月中旬に南部エリアの河畔林や公園林の保全健全化工事の事後審査型条件付き一般競争入札を公告し、下旬に開札する。樹木の伐採や捕植1・95平方mを発注する。2021年度は法面保護工事や翌年度の園内工事の実施設計を委託する。最終年度を迎える22年度は基盤整備を施工する。第1期計画の総事業費は9億2200万円を見込んでいる。
城山公園は鎌倉時代から室町時代の下野守護・小山氏の祇園城跡。1956年に都市公園に整備。91年には国史跡に指定された。JR東京駅から新幹線で41分、小山駅西口から徒歩8分という交通至便な立地条件にもかかわらず優位性が生かされていない。
西側は1級河川思川、南側は祇園城通り(主要地方道栃木小山線)に接する。長きにわたり市民の憩いの場、桜の名所に親しまれてきた。近年は施設の老朽化や桜の古木化に伴い来園者が激減。樹木の大木化や倒木、丘陵部の崩落を心配する声が寄せられている。
新たな憩いや集いの場を設け、まちの活性化やにぎわい創出の拠点となるよう再整備を計画。2018年度の基本計画はパシフィックコンサルタンツ栃木事務所(宇都宮市)が担当。19年度は公園南部の基本設計を森緑地設計事務所(東京都港区)に委託した。
第1期計画は18年度から22年度までの5カ年間。工事箇所の実施設計は7月、三条工測(小山市)に委託。13日には、樹木保全健全化工事の関係自治会現地説明会を開催。施工期間中の一部エリア閉鎖の理解と協力を求め、近隣住民の要望を聴取した。
第1期工事は本丸や二の丸付近が対象。防犯上問題のある樹木を伐採し、伸び放題だった樹木を間伐し剪定。繁茂した竹や雑木は除去し、安全に歩けるよう整理する。思川方面からは日光連山や富士山を眺めることができ、住民から見晴らし確保が求められた。
再整備コンセプトは「国史跡の歴史資源を保全・活用するとともに、桜を中心に花々が楽しめる快適で魅力ある空間と思川との連携」。土塁や堀で構成する曲輪地形を保護し、思川左岸の高台に位置する悠然な眺望を生かした心安らぐ場を創造する。
既存の石垣を彩る植栽と趣のある園路で風格あるエントランスを演出。保護盛土土塁の法尻を四季折々の草花で飾り、散策しながら歴史を感じられるよう考慮。多目的広場を設け、思川を望む園地にはテラスを配す。テラスからは河川敷への階段を設置する。
全体を3期に分けて段階的に整備。第1期計画は国土交通省が今年度に創設した「都市構造再編集中支援事業」を導入した。立地適正化計画の都市機能誘導区域内の補助率が従来の45%から50%に増額され、これまで以上の事業支援が受けられる。
段階ごとに国に対し優遇支援制度を採択申請し、2期計画、3期計画とも各5カ年間で整備を推し進める方針。1期計画の南部エリアに続き、2期計画は中央エリア(1・5ha)、3期計画は北部エリア(1ha)の整備を計画している。
台地状の城山公園は南側から本丸・二の丸、中曲輪、上段曲輪、塚田曲輪、北曲輪の大きく5つのエリアで構成する。これら外周には土塁や堀の遺構が存在。本丸・二の丸付近は庭園風、中曲輪や上段曲輪は桜の植栽、塚田曲輪は広場、北曲輪は雑木林が広がる。