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農林水産省関東農政局

12か年で事業費400億/国営農地防災の手賀沼地区/地区採択の条件満たす/事業着手へ法手続き

2020/10/09 日刊建設タイムズ

 農林水産省の2020年度国営土地改良事業等の事前評価で、本県の国営総合農地防災事業手賀沼地区が対象となり、「地区採択の必須条件を満たしている」との結果を得た。これを受けて、21年度の事業着手に向けて、本年度から土地改良法に基づく土地改良事業計画の概要の公告などの手続きが開始される。事業期間は32年度までの12か年。総事業費400億円を投入し、排水機場、揚水機場、排水路、水管理システムの改修を実施する。事業計画の概要の公告などは年明けごろとなる見通し。

 同事業は、県北部に位置する船橋市、松戸市、柏市、流山市、八千代市、我孫子市、鎌ケ谷市、印西市および白井市に広がる3845haの農業地帯において農作物及び農用地等の被害を未然に防止し、農業生産の維持及び農業経営の安定を図り、農業用用排水施設の機能の回復を行うもの。

 主な事業内容は▽排水機場改修2か所▽揚水機場改修3か所▽排水路改修2・45㎞▽水管理システム改修一式。総事業費400億円の内訳は、排水機場改修209億円、揚水機場改修98億円、排水路改修87億円、水管理システム改修6億円。

 本年度は、関東農政局利根川水系土地改良調査管理事務所が全体実施計画書取りまとめ業務や、小森揚水機場導水路設計業務、小森揚水機場導水路調査測量業務、下手賀沼環境モニタリング調査業務などを委託している。

 全体実施設計の取りまとめは▽総事業費の修正▽経済効果の修正▽河川予備協議等係る資料作成▽事業計画書案の修正▽全体実施計画書案の修正――などを実施。3450万円で内外エンジニアリングに2021年3月19日までの工期で委託している。

 また小森揚水機場導水路設計業務は三祐コンサルタンツに455万円、同調査測量業務はジステックに680万円、モニタリング調査はNTCコンサルタンツに452万円で、それぞれ委託している。

 同地区の基幹的な農業用排水施設は、1946~68年度に国営手賀沼干拓土地改良事業により造成されたが、排水機場などは、地盤沈下や都市化に伴う流出形態の変化等により排水能力が不足し、農地の湛水被害が生じている。また揚水機場は、揚水能力が不足し、安定給水に支障をきたしている。さらに、手賀排水機場等は必要な耐震性を有しておらず、大規模地震により損壊した場合、排水機能を喪失するとともに、地域や農地に甚大な被害を及ぼす恐れがある。

 このため同事業により、機能が低下している農業用用排水施設の改修と併せて耐震化対策を行い、農地の湛水被害の防止と農業用水の安定給水を確保することとした。

手賀沼地区の概要図

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