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栃木県足利市

足利市 あがた駅北産業団地、22年度から造成工事、来年度に詳細設計

2020/10/13 日本工業経済新聞(栃木版)

 足利市は、市直営による「あがた駅北産業団地開発事業」(県町、下渋垂町、百頭町)に着手した。東武伊勢崎線県駅北側の約20haの農地を全面買収方式で取得する。2020年度の基本設計は栃木都市計画センター(宇都宮市)に委託したほか、年度末には用途地域の変更、地区計画の決定、区域区分の変更の都市計画決定告示の予定。21年度には用地取得と詳細設計を委託。22年度に基盤整備に着工し、26年度の完成を目指す。

 計画地は県企業局が造成した「あがた駅南産業団地」(開発面積約18・4ha、分譲面積約12・3ha)の北側。駅南は造成工事中の予約分譲段階から企業の引き合いが相次ぎ、全10区画は早々と完売。企業の進出意欲は高く、市独自で新団地開発を手掛ける。

 引き続き企業からの問い合わせが寄せられており、市内13の産業団地は全区画が完売。駅南と一体となった駅北の用地拡張にシフトし、早急に企業の受け皿を確保する必要性に迫られている。雇用の促進、地域産業の活性化、税収強化、移住定住につなげる。

 全面買収方式を採用するのは事業期間の短縮や手続きの煩雑さを省ける面で優位。用地の区画割りは、立地企業のニーズに柔軟に対応できるオーダーメード型。造成予定地は田畑で、18年度から意向調査に入った。地権者約70人は事業に前向きな姿勢を示す。

 19年度は地区界測量を晃洋設計測量(足利市)に委託。20年度は基本設計をはじめ、地質調査を中央土木工学研究所(宇都宮市)、物件調査を栃木県用地補償コンサルタント(栃木市)、土地評価を池末不動産鑑定事務所(宇都宮市)に委託済み。

 市決定の用途地域の変更は駅舎を包含する約21haを工業地域に指定。容積率は200%、建ぺい率を60%に制限。地区計画は駅舎を除く約19・5haで住宅、大型商業施設、産廃施設の立地を制限し産業団地3方向に幅15mの緩衝帯を配置する。

 足利佐野都市計画区域マスタープランに基づき県が区域区分を見直す定期線引きの変更では、一帯の約21haの市街化調整区域を市街化区域へ編入の見通し。いずれも11~12月に都市計画案の縦覧期間(2週間)があり、年度末には都市計画決定の運び。

 東側を主要地方道足利邑楽行田線が南北方向に縦断し、東西方向に横断する国道50号と交差。南側は東武線が東西方向に運行し、あがた駅南産業団地の一部が八坂第2工業団地に接している。北側は市道上渋垂愛宕台中学校通りが東西方向に走る。

 交通利便性は南北約2㎞で国道50号と国道122号に接続。北関東自動車道の足利IC、太田桐生ICへ各約10㎞、東北自動車道の佐野藤岡IC、館林ICへ各約15㎞の利便性。約3000の企業が操業する両毛地域の中心部に位置し、東京まで80㎞圏。

 駅の上下を囲む形での産業団地造成は全国でも珍しく、東武線の利用者増につながると判断。JR大宮駅から約1時間とあって、鉄道利用による人材確保が見込める。産業団地を核に街全体に活気がみなぎるよう若者世代の定住や移住策を一層強化する。

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