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栃木県県土整備部

県土整備部、足利の中橋21年度事業化、事業費107億、27年度完成へ

2020/10/21 日本工業経済新聞(栃木版)

 県県土整備部は20日、足利市の利根川水系1級河川渡良瀬川に架かる都市計画道路3・5・102号家富町堀込線(主要地方道足利千代田線)中橋工区のパブリックコメントを開始した。通2丁目を起点とし、南町を終点とする延長640m区間に街路づくり事業を導入。国の堤防嵩上げに伴い中橋を架け替える。関連する歩道や自転車道、右折車線、JR両毛線の立体化や踏切除去を実施。既存の3連アーチ橋は下流部に移設する。2021年度に事業に着手し、一部工事に着工。27年度の完成を目指す。総事業費約107億円(県道70億円、国河川37億円)を見込んでいる。

 家富町堀込線は市中心部と国道50号を結ぶ重要な幹線道路。南北市街地を結ぶシンボル軸であり、都市の骨格を形成。中橋の3連アーチはランドマークとして市民に親しまれ、魅力ある景観を演出。付近は堤防が切り込み、重要水防箇所に位置付けられている。

 事業区間は、朝夕を中心にJR両毛線を横断する宝来社街道踏切前後で交通渋滞が発生。主要渋滞箇所に選定されており、渋滞緩和が必要。近隣の高校生をはじめとする自転車通行が多いにもかかわらず、十分な自転車通行空間が確保されていない。

 けやき小学校の通学路ながら中橋の歩道は狭く、踏切部では歩道が未整備。通学する児童生徒の安全性が求められる。国は堤防嵩上げと中橋の架け替えを計画しており、国と県が連携し新橋を整備。安全な通行と渋滞緩和による交通の円滑化を図る。

 標準幅員は橋梁部19・8m。新設の上流側は車道3m×2車線、歩道3・5m、自転車道2m、路肩0・5m×2、施設帯は0・4mと0・6m。既存の3連アーチ橋は下流部にスライドさせ、側道橋に活用。歩道3・5m、自転車道2m、施設帯0・4m×2。

 高架部幅員は22m。車道3m×2車線、右折車線3m、歩道3・5m×2、自転車道2m×2、路肩0・5m×2、施設帯0・5m×2。107億円の事業費内訳は測量設計費1億円、用地補償費4億円、工事費102億円と試算。財源は国費55%、県費45%。

 15年度の交通量調査では自動車交通量は1日当たり1万3517台。12時間当たりの自転車交通量は1380台、歩行者交通量は830人。通2丁目交差点と中橋北交差点が主要渋滞箇所。宝来社街道踏切は、踏切改良促進法に基づく改良踏切道の位置付け。

 県地域防災計画では第3次緊急輸送路に指定。足利佐野都市計画区域の整備開発保全方針では地域拠点地区や生活拠点地区の形成を支援するとともに、拠点地区間や周辺地域との移動や連携の促進を図る都市内連携軸に位置付けられている。

 県水防計画では中橋付近が重要度Aの重要水防箇所。市都市計画マスタープランでは両毛線と渡良瀬川で分断された南北方向の交通の円滑化を図るため、整備を推進する路線。国の渡良瀬川河川整備計画では、架け替えが必要と指摘している。

 新たな中橋の予備設計は国が21年2月までの履行期限で八千代エンジニアリング(東京都)に委託。21年2月以降、橋梁詳細設計を委託する予定。中橋は前後の堤防に比べ左岸側で約3m、右岸側で約2m低い。架け替えと堤防嵩上げが妥当と判断した。

 既存の中橋は橋長295・1m、幅員11・9m(車道3m×2車線、両側に2m歩道)。1936年に架設されたモスグリーンが川面に映える長大橋。慣れ親しんできた3連アーチ橋の存続要望が高かった。両側歩道は3連アーチ外側にあり、移設の際に撤去する。

 中橋付近の流下能力は毎秒1500立方m、河川整備計画の河道目標流量の毎秒3300立方mの半分に満たない。昨年の東日本台風では桁下まで残り1・2mまで水位が上昇した。堤防が決壊した場合、市街地の多くが浸水し最深部は3mに及ぶと推定される。

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