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【技術検定試験】悪質事案の罰則強化を/不正防止対策で提言

2020/11/11 本社配信

 施工管理技術検定試験の不正受検防止に向けた対策を議論してきた国土交通省の有識者検討会が提言をまとめた。全9項目で構成し、2021年度中に導入するものと、今後の検討を踏まえた上で導入するものに分けて対策を求めている。国交省では指定試験機関と協力し、「受検の手引き」の改善やチェックリスト活用など21年度の受検申請から実現可能な対策を実施するとともに、悪質な不正事案に対する罰則強化など対策の具体化が必要なものに関しては、速やかに導入に向けた検討に着手する。

 今回の提言では、理解不足による申請ミスの防止対策として▽実務経験証明者による受検者の経歴等の根拠資料の保有の周知徹底▽所属企業ごとに実務経験の証明を求める方法への見直し▽「受検の手引き」の記載内容の改善▽チェックリストの活用―の4項目、受検者および証明者による虚偽申請の抑止では▽受検申請書類の電子申請化と既存データベースとの連携▽試験問題の見直し▽実務経験の証明に関する立入検査の実施▽企業名公表▽企業へのペナルティの強化の検討―の5項目の実施を求めた。

 提言を受け国交省では、受検の手引きに関して資格や実務経験の要件、実務経験期間の重複禁止等を分かりやすく記載するように、21年度試験から記載内容を改善する。確認すべき項目や間違いやすい項目をまとめたチェックリストの活用は、21年度試験より受検者・証明者の双方に対して提出を求める。

 実務経験の証明に関する立入検査の実施は、建設業法の法令順守推進に基づく活動の立入検査において、適切に実務経験の確認が行われていない場合には速やかに指導、勧告を行う。

 さらに企業による証明の重大な不備や不正に資格を取得した者の現場配置などで社会的な影響が大きい事案が確認された場合、国交省が企業名を公表。企業側には客観的な原因分析結果と再発防止策の公表を指導する。

 企業へのペナルティ強化については、建設業法に基づく監督処分の厳格化や罰則適用の可能性を検討。公共工事での指名停止に関しても、より長期の期間適用を検討する。

 同技術検定では、複数の企業で実務経験年数を満たさない者が受検して不正に資格を取得し、技術者として配置する事態が発生。国交省では技術者制度の信頼を揺るがし、建設生産物の品質や安全性に疑義が注がれることにつながりかねない「由々しき問題」と捉え、8月から不正防止対策の検討を進めてきた。

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