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宇都宮市、駅西口LRTルート 高架案に、830m、概算事業費100億

2020/11/28 日本工業経済新聞(栃木版)

 宇都宮市は、JR宇都宮駅西口のLRTルート構造を高架案に決めた。駅東口交差点から上河原交差点の延長約1100mのうち、高架部は勾配区間を含め約830m、地上部は約270m。高架案の概算事業費は約100億円。12月2日の芳賀・宇都宮基幹公共交通検討委員会で確定する。市はルート構造を基に駅西口の駅前広場について交通基盤施設などの配置計画を検討。駅西口周辺地区の整備基本計画を作成していく。27日の議員説明会で報告した。

 駅東口の地上部停留場からは約6%の勾配区間となり、駅北側を高架で在来線を横断。西口停留場は駅の2階レベルに設置する。駅西側の宮の橋から上河原交差点の東側まで約5%の勾配区間で地上に降りる形とする。

 市は2018年10月に駅の北側を横断するルートを選定。西口のルートの構造や停留場の位置などを検討するため、芳賀・宇都宮基幹公共交通検討委員会に有識者らで構成する交通結節点等基盤整備部会を設置。6回にわたり検討し、高架案を選定した。

 選定にあたっては地上案と高架案で軌道運行の安全性、LRTと鉄道との乗り継ぎ利便性、周辺道路や駅前広場の交通処理、まちづくり、経済性などを比較して総合評価を実施。

 高架案は景観形成の観点で構造物設計や空間上の制約が多く難易度が高いとされたものの、宮の橋交差点や駅前広場正面でLRTがバスやタクシー、一般車両と立体交差するため円滑で安全性の高い自動車交通が確保できることや歩行者交通への影響が少ないなど利点が多い。乗り継ぎ時間も地上案より短く、安全性や軌道運行の速達性、定時性、利便性が高いと評価された。

 概算事業費は、駅東口交差点から上河原交差点までの高架構造物や軌道、電気・通信設備などの整備費、移転補償費などを見積もった。地上案の軌道整備費は約80億円。地上案については交通の円滑化に必要な宮の橋交差点など周辺交差点の道路拡幅や改良などの対応が見込まれるため、多額の費用と時間がかかるとした。

 西口駅前広場については、道路管理者や交通事業者など関係機関と協議しながら交通基盤施設などの配置計画を検討。市街地再開発事業を検討するJR宇都宮駅西口地区まちづくり協議会とも連携し、駅前広場の再整備と市街地再開発事業が一体となった空間・景観づくりの検討などを進め、駅西口周辺地区の整備基本計画を策定する。

 駅西側のLRT整備では国や県、JR東日本などと協議しながら大通りの道路空間整備や交通結節点、需要予測などを検討し、特許申請に必要な軌道運送高度化実施計画を作成していく。

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