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栃木県鹿沼市

鹿沼市水源拠点、近く実施設計プロポ公告、年明けに指定管理者公募、温浴、飲食、物販の複合拠点

2020/12/24 日本工業経済新聞(栃木版)

 鹿沼市は近く、水源地域振興拠点施設整備事業(上南摩町沢口地区)における実施設計の公募型プロポーザルを公告する。参加表明書の提出を待ち、選考手続きは2021年早々に本格化させる。1月下旬に企画提案書の提出期限を設け、2月上旬にプレゼンテーション審査。設計実績と提案内容を得点化し、2月中には優先交渉権者を特定する。履行期限は契約締結日から22年1月末まで。実施設計委託料は7350万2000円を予算化した。併せて1月中には指定管理者の公募型プロポーザルを公告し、3月末には候補者を選定する。

 主な入札参加資格は類似施設(道の駅のような観光交流拠点施設)または温泉・飲食・宿泊施設(キャンプ場を含む)の設計・運営実績。基本設計はスノーピーク地方創生コンサルティング(新潟県三条市)が担当した。基本設計を叩き台に実施設計を練り上げる。

 事業手法は公設民営とし、民間企業の創意工夫を生かした効率的で魅力的な整備運営に努める。ほぼ同時期に指定管理者を募集するのは、運営者提案を実施設計に反映させるのが目的。実施設計段階で設計者と運営者が密接に協力し、使い勝手の良い施設に仕上げる。

 市西北部地域の約5haの農地、原野、山林、雑種地を取得。温浴施設、農村レストラン、地場物産直売所の中核施設1棟、別棟で地域住民の農産物加工施設を建設する。実施設計を進める中で、維持管理低減手法や望ましい設備機器の設置を検討する。

 コア(核)施設のほか、時々のニーズに合わせるフレキシブル施設は宿泊機能(フリーサイトキャンプスペース)、アクティビティ機能(多目的広場、体験農園、レンタサイクル、自転車コース)を想定。土地利用は現況地形を可能な限り生かす。

 施設配置計画はコア施設が木造平屋建て延べ約1500平方m、駐車場約6000平方m、フレキシブル施設約3万6000平方m、管理施設(園路、調整池)約6500平方m。温浴施設や飲食施設は見晴らしの良い敷地中央付近の高台に配置する。

 キャンプ場のフリーサイトは区画サイトのように区切りがなく、スペースを自由に使えるが特徴。自分の好きな場所にテントを設営でき、雄大な大自然の中で開放感を味わえる。アウトドアの本格派向けで、近年は人気が高い。現段階ではグランピングは除外した。

 ただし経験や実績が豊富な指定管理候補者から優れた提案が出された場合、協議の上で採用する。実施設計の審査委員は庁内関係部署の責任者を充て、指定管理者の選考は庁内委員に加えて水資源機構思川開発建設所と地元自治会の代表の外部委員で構成する。

 本契約締結後の実施設計者と指定管理候補者は月1回程度、市を交えた設計協議の会合を持つ。指定管理候補者は実施設計者に対し、様々な提案を通じて積極的に参画。指定管理候補者は用地取得の期間、事務的手続きに必要な資料作成を補助する。

 地権者は約25人で、事業計画には賛同が得られている。21~22年度で用地を取得し、22年度後半に着工。24年度までの3カ年で施工する。施設完成後の指定管理期間は5~10年以内とする方向で調整中。水機構の南摩ダム完成と同時期に供用開始する。

 市は19~20年度の2カ年間で温泉を掘削。地下1500m地点までロータリー式掘削工法で掘り下げ、源泉を探り当てた。湧出量は毎分133㍑。泉温は32・9度。泉質はナトリウム-炭酸水素塩温泉。皮膚を清浄化し肌を滑らかにする効能があるという。

 中核施設の建築構造は「市公共施設木造・木質化基本方針」に則り、鹿沼産出木材を使用する。指定管理者は地域活性化策(地元雇用、地場産品活用)、地域団体との連携や協働を提案。社会動向や利用者ニーズを的確に把握し、常に新たな事業を展開していく。

 思川開発事業南摩ダム本体建設工事は大成建設が25年3月31日までに完工させる。堤高86・5m、堤頂長360m、堤体積240万立方mのコンクリート表面遮水壁型ロックフィルダム。実施計画着手以来、半世紀を経て着工。総事業費は約1850億円。

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