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第一建設工業の新工法D-flipが好評、重機使わず工期短縮

2021/01/08 新潟建設新聞

【D-flip工法】


 第一建設工業(内田海基夫社長、新潟市中央区)が開発した河川内の橋りょう橋脚補修に必要な仮締切り工法「D-flip(ディーフリップ)工法」が好評を博している。インフラ施設整備で維持修繕や長寿命化の工事需要が増える中、河川内橋脚工事での仮締め切り工法で工期短縮と省力化を実現する新工法に注目が集まる。

 D-flip工法(技術名=任意深度定着型仮締切り工法)は、橋脚の周囲にライナープレートで構成する部材を組立て、任意の水深まで沈下させてドライ空間を作り出す。河川の仮締切りに鋼矢板を使わないことで得られるメリットは大きい。

 大型重機で鋼矢板を打ち込む従来の仮締切り工法は、地盤の固さ(N値)や護床工など河床条件による影響を強く受け、補修・補強する橋脚の施工箇所に関わらず一定規模の設備が必須だった。

 D-flip工法では地盤条件に起因する工程ロスはゼロ。作業空間が必要な箇所の周囲のみに仮締切りの範囲を限定し、工事の小規模化、施工の省力化を達成した。アプローチにはクイックデッキを採用することで従来工法と比べ一層の工期短縮が可能となった。矢板を打ち込む際の騒音も無い。

 同社土木本部の佐々木健一本部長は「硬質地盤などN値が大きい場合、D-flipの利用価値が一段と高まる。従来の工法では河床地盤の状況、支障物の有無によって矢板の打ち込みに多くの日数を要する」と説明。その上で「使用する各部材の重量を1つ50kg以下とした。そのため資材の運搬・組立て・設置の全工程を全て人力で作業ができる。仮桟橋を設置する渡河工事の工程が不要となった点も強み」と新工法のアドバンテージを話す。

 同社土木技術部の春日秀文課長代理も「官公庁や建設コンサルタント会社など各方面から同工法に関する問い合わせを多数いただいている」と反響を実感し「着実に実績を積み重ねていきたい」と意気込みを語る。

 現在はD-flip工法で東日本旅客鉄道・秋田支社から受注したJR奥羽本線米代川橋りょうの橋脚耐震補強工事(2020年9月~21年4月)に取り組んでいる。現場周辺は硬質地盤のため工法の利点を十分に発揮し橋脚2基を同時進行で施工中。

 D-flip工法は今後さらに高まるインフラ施設の維持修繕ニーズへ応え、社会基盤を支えていく。

【写真=米代川橋でのライナープレート沈下後(奥は沈下前)の様子、工法について説明する佐々木本部長】

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