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栃木県高根沢町

高根沢町水道ビジョン、管路耐震に10.8億、4浄配水場を順次改修

2021/01/20 日本工業経済新聞(栃木版)

 高根沢町は、2021~30年度の10年間を計画期間とする「水道事業ビジョン」を策定した。初年度に管路耐震化更新実施設計費770万円を措置し、22~27年度の6年間は年間8200万円で管路耐震化更新を施工する。22年度は中阿久津浄水場管理棟の浸水対策工事、23年度は東部着水井と東部浄水池の改修、24年度は仁井田着水井と仁井田浄水池の改修、25年度は宝石台配水池の改修、26年度は宝石台浄配水場管理棟の改修、27年度は仁井田浄水場管理棟・ブロワ室の改修、28年度は中阿久津浄水場管理棟を改修する。年平均約2億2000万円を計上し、総事業費22億24000万円を投入する。

 投資額内訳は管路耐震化更新(導水管、送水管、配水管)10億8200万円、機械電気計装設備更新8億8000万円、建築(中阿久津浄水場管理棟浸水対策、宝石台浄配水場管理棟、仁井田浄水場管理棟・ブロワ室、中阿久津浄水場管理棟の各改修)9000万円。

 土木改修(東部着水井・浄水池、仁井田着水井・浄水池、宝石台配水池)6400万円、11井戸調査・清掃5500万円、その他(水道メーター購入等)5300万円。電気計装は各年度8000万円で劣化部を更新。各年度1井戸の調査・清掃は500万円。

 町水道事業は1963年度に創設認可を取得。宝積寺簡易水道が始まり、3次にわたる拡張を進めた。2016年度に東部地区簡易水道を統合。計画給水人口は2万9600人、1日最大給水量は9500立方mの供給能力。普及率は99%に達している。

 管路総延長は332㎞に及ぶ。耐震管は24㎞(7%)、耐震適合管は22㎞(7%)、耐震性を比較的有する管が205㎞(62%)、耐震性の低い管が81㎞(24%)。経年劣化した塩化ビニール管は漏水事故の発生割合が高く、優先順位を付けて耐震化する。

 中阿久津浄水場管理棟は浸水想定区域内に立地。0・5m以上浸水しても浄水を供給できるよう止水ゲートや止水扉を導入し、22年度に浸水対策を施工。災害時に有効な可搬式発電機の規格や搬入方法を検討し、有事への備えを万全に整える。

 23年度に改修する東部浄水場は着水井がRC造(1・5×4・5m×高さ2・8~3・3m)、浄水池はRC造2池75立方m。24年度改修の仁井田浄水場は着水井がRC造(1・5×5m×高さ1・4~2m)、浄水池はRC造2池90立方m。

 25年度改修の宝石台配水池はPC造1池1410立方m。26年度改修の宝石台浄配水場管理棟、27年度改修の仁井田浄水場管理棟・ブロワ室、28年度改修の中阿久津浄水場管理棟は全てRC造平屋建て。災害に強く安全安心な水を安定供給する。

 中阿久津配水区、仁井田配水区、宝石台配水区、東部配水区の4つの配水エリアに分かれ、水源11カ所は全て地下水。中阿久津配水場は浅井戸3カ所、仁井田配水場は浅井戸2カ所、宝石台配水場は深井戸4カ所、東部配水場は浅井戸2カ所を有す。

 取水状況は水位低下がなく良好。中阿久津、仁井田、宝石台の3浄水場の原水は遊離炭酸が多く、ガスを飛ばす曝気処理で適度な状態を保持。残る仁井田浄水場は塩素消毒のみで供給。浅井戸は年4回、クリプトスポリジウム指標菌検査を実施している。

 中阿久津、仁井田、宝石台、東部の4配水池とも自然流下方式。水圧の変化が少なく、ポンプ加圧方式に比べ停電による影響なく安定的な配水が可能。4池には緊急遮断弁があり、自然災害で漏水が発生した場合は配水を遮断の上で応急給水用の浄水を確保する。

 町は給水区域の拡張とともに、設備投資を重ねた。投資総額は現在価値換算で133億円に上る。技術や使用材料の進歩により、実耐用年数は法定耐用年数を上回る。施設更新の際は、実耐用年数を採用。定期的な点検整備で長寿命化を図り、計画的に更新する。

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