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栃木県小山市

小山市 第4工業団地第2工区、15.1haを開発、24年度着工へ、事業費15.2億、新年度に地質調査

2021/01/23 日本工業経済新聞(栃木版)

 小山市は、小山第4工業団地第2工区造成事業(鉢形)に乗り出す。計画地は、市東部の第4工業団地西側に隣接する市街化調整区域の山林や畑15・1ha。全面買収方式により、市土地開発公社への委託事業で新規工業団地を開発する。2021年度は地質調査や地区界測量、基本計画を委託。22年度は路線測量、街区確定測量を委託。22~23年度で基本・実施設計を仕上げる。24年度に着工し、25年度の完成を目指す。総事業費15億2600万円を見込んでいる。交通結節点の優位性を最大限に生かし、産業、人、未来を支える活力につなげる。

 当初は市直営による本格事業化を見据え、新年度から特別会計への移行を準備してきた。コロナ禍における市財政事情の悪化を鑑み、市土地開発公社の工業団地売却余剰金を事業費に活用する。3月の市土地開発公社理事会に諮り、委託事業が正式決定の運び。

 概算事業費内訳は委託費3億2600万円、用地費6億600万円、工事費5億8000万円、諸経費1400万円。着工前には自然環境調査、大規模開発事前協議、地区計画決定に向けた都市計画手続き、埋蔵文化財確認調査、用地買収を済ませる。

 計画地西側を新4号国道が南北に縦断し、南側を一般県道福良羽川線が東西に横断する。圏央道の開通により、新4号国道沿線の交通利便性が一段と向上。工業排水は既存の第4工業団地東端を南北に流れる小山用水土地改良区が管理する水路への放流を想定した。

 山林や畑を所有する地権者は53人。事業に理解を示したことから、昨秋に現況測量を都市設計(小山市)に委託した。3級や4級基準点を設置し、現地測量結果を図面に落とし込む。近年の進出企業は、まとまった区画を希望する傾向が高い。

 既存の第4工業団地は市直営で13年度に着手し、15年度に完成。開発面積7・1haのうち、全3区画(4・7ha)をプラスチック製品製造業「東拓工業」(大阪市)に一括分譲。18年春にS造平屋建て延べ8974・94平方mの関東おやま工場が操業した。

 過去10年間の市内立地企業平均の工業用地需要は年間約4・4haと試算。東拓工業への分譲実績で立証された格好。区画割りを少なくすることで区画道路築造をはじめとする開発投資コストを抑え、工期短縮につなげる。今後は企業の進出意向を注視する。

 首都東京から60㎞圏という立地利便性をアピール。開発面積約15・1haのうち、分譲区画を抑制すれば着工から2カ年で完工の見通し。優良企業誘致による産業の振興、地域経済の活性化、若者の雇用の場の拡大、市税収入の安定確保につなげる。

 市は1961年に小山工業団地(市市街地開発組合施行)の造成を開始して以来、工業団地だけで約160社を誘致。約1万2000人の雇用を生み、税収に大きく貢献。経済の活況はまちづくりの原点であり、県内第2位の都市に発展している。

 10カ所の工業団地開発が完了し、現在は小山東部第2工業団地(梁、高椅、開発面積9・3ha、分譲面積6・3ha、9区画中4区画が契約済み)を分譲中。さらにテクノパーク小山南部(塚崎、東野田、開発面積15・5ha、分譲面積11・3ha)を造成中。

 20年度上期の工場立地動向調査では県内の立地面積は71haで全国1位。工場立地件数は20件で全国4位、このうち県外本社企業の進出は15件で全国1位、産業団地内への立地件数は8件で全国2位。地域別は県南地区が8件で構成比の40%を占める。

 多様な企業を誘致し、景気変動に左右されない産業構造の変化に対応した産業体質の構築を目指す。市の交通網はJR小山駅に東北新幹線と在来線の宇都宮線、両毛線、水戸線が停車。広域幹線道路網は国道50号と国道4号、新4号国道が交差する要衝。

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