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栃木県真岡市

真岡市、新水道ビジョン案、2カ所に新設水源整備、石法寺浄水場と荒町配水場

2021/01/27 日本工業経済新聞(栃木版)

 真岡市は新水道ビジョン案をまとめた。計画期間は2021年度から30年度までの10年間。来年度から2カ年で石法寺浄水場と荒町配水場に新設水源を整備。23年度に久下田浄水場予備水源の第3水源を本設に整備する。石法寺浄水場は24~25年度の2カ年でろ過設備を導入し、26~28年度に管理棟など基幹構造物を耐震化、29~30年度に導水管を耐震化する計画。また30年度には送水管の更新も検討。このほか、浸水想定区域内にある三谷浄水場の浸水対策を29~30年度の2カ年で実施。その他水道施設の浸水対策は30年度に検討する。

 新設水源は石法寺浄水場で2つの取水井、荒町配水場は取水井1つを新設。設置箇所はいずれも場外。両施設では取水ポンプの運転時間が長い割に利用率が低く十分な取水量を確保できない状況。安定した水道水を供給する施設を目指すとともに適切な維持管理を行うため整備する。

 石法寺浄水場へのろ過設備導入は、水質改善に向けて鉄やマンガンを除去するため検討する。石法寺浄水場では1日あたり1万2200立方mの計画水量を処理する施設が必要。基幹構造物の耐震化も考慮したうえで設置位置などを検討する。

 基幹構造物は石法寺浄水場の1号配水池、2号配水池、管理本館(管理棟・ポンプ井)を耐震化。いずれも基礎杭の増し杭と増打ちコンクリートで補強する。管理本館はRC造延べ705平方m、690立方m。1号配水池と2号配水池は埋設式のRC造2645立方m。管理本館と1号配水池は供用から40年以上、2号配水池も40年近く経過しているため老朽化が著しい。

 基幹管路の石法寺浄水場の導水管で耐震性能を有しているのは10号井に接続する一部のみ。経年劣化も進行しているため不具合が生じた際は断水の可能性が危惧される。強靭な水道を目指すため数㎞に及ぶ不適合管を耐震管に更新する。

 石法寺浄水場高架水槽への送水管は耐震適合管ながら経年劣化が進んでいるため将来的に更新が必要。布設区間は道路幅員が狭く、複数の水道管が埋設されているため更新方法を検討していく。

 三谷浄水場は防水壁を設置。18年度の台風19号では周辺が浸水被害。浄水場には被害が及ばなかったものの水没した場合、浄水設備としての機能が停止する恐れがあるため浸水対策を講じる。

 また、三谷浄水場以外にも石法寺浄水場、荒町配水場、京泉浄水場が浸水想定区域内の施設となっており防水壁の設置や施設高さの嵩上げなど具体的な方法を検討する。

 計画期間内で継続的に実施するのは水道施設耐震化計画の更新、機械・電気設備の更新、管路更新、管路ダウンサイジング、未普及地域の水道整備推進など。

 管路は毎年のように漏水事故が発生する久下田配水区や三谷配水区の中で影響の大きい箇所から優先的に更新する。特に久下田配水区では塩化ビニル管からの漏水が要因となっており、主要管路の口径200㎜耐震管への更新を急ぐ。

 管路のダウンサイジングが可能なのは市内で合計約30㎞。安定した流速と適切な水圧を確保し、緊急時の消火用水量も見据えて最適な口径を選定する。

 計画期間の資本的支出は21年度8億8700万円、22年度8億8900万円、23年度8億7400万円、24年度8億5000万円、25年度8億2400万円、26年度7億9100万円、27年度7億5200万円、28年度7億1600万円、29年度6億8600万円、30年度6億7500万円。

 内部留保資金は24年度から増加傾向を示し、30年度には約7億円となる。老朽化した管路の更新費用など将来の投資資金を確保できるとしている。

 市は今後40年間で水道施設の構造物・設備は約54億円(年平均1・4億円)、管路で約607億円(年平均約15・2億円)の更新費用が必要と分析。適正な維持管理と更新時期の適正化を図り費用の抑制に努めていく。

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