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長野県,(社)長野県建設業協会

書類簡素化や設計精度向上を/適切な設計変更も/建築分野で意見交換

2021/01/29 長野建設新聞

 県と県建設業協会は27日、建築工事に特化した意見交換会を長野市のホテル国際21で開催した。協会は県発注建築工事における書類の簡素化や設計図書の精度向上などについて意見や要望を伝え、改善を求めた。

 会合には県から建築住宅課の久保田達也企画幹兼主任専門指導員をはじめ、建築住宅、施設両課、会計局契約・検査課の職員が出席。協会からは唐木和世建設技術委員会担当副会長のほか委員会のメンバーなどが参加した。

 冒頭、唐木副会長は「この意見交換会は平成25年度より毎年継続している。これまでさまざまな課題が挙げられ、具体的な改善案も提示されている。今年も現場の生の声を提案させていただく。これを改善していくことが働き方改革や生産性向上、労働災害の防止につながる」とあいさつ。

 久保田主任専門指導員は「昨年来、新型コロナが猛威を振るい、労務の手配や工期への影響が心配されるが、県工事は皆さまに協力をいただきながら大過なく進んでいる。感染症の対応など当面の課題はあるが、働き方改革や新たな人材の確保・育成といった将来に向け対応すべき課題もある。皆さんと一緒に取り組んでまいりたい」と応じた。

 議事では協会が「書類の簡素化」「設計図書の内容の精度」「発注時期及び工期」「設計変更」「入札制度」「積算」の6テーマ15項目の議題を提示し、県が一つ一つ回答していった。

 書類の簡素化では、協会が低入札価格調査の提出書類について「品質確保や下請けにしわ寄せが及ばぬようということは承知しているが、特に小さな企業では対応が困難」とし、小規模工事では調査書類を簡素化できないか検討を提案した。

 また「押印の必要な書類がスムーズに処理されず、業務に支障が生じている」と改善を求めたのに対し、県は処理状況を確認する取り組みを複数の工事で行ったことを伝え、「速やかな事務処理を心掛けるが、処理状況の見える化も必要だと考えている」と回答。「メールなどでの事前確認も一策」と伝えた。協会からは「コンサルの監理者にも書類簡素化の意識を浸透してほしい」との要望も出た。

 設計図書に関しては、設計図書内の図面の不整合や、設計内容と現地の相違について改善を要望。居ながら工事の制約事項について事前に明記することの徹底も求めた。適切な設計変更を求める意見に対しては、県が「早い段階で変更箇所の洗い出しを行い、必要に応じて協議してほしい」と回答した。

 積算関係では、交通誘導警備員の設計労務単価と実勢価格のかい離を指摘する意見が挙がり、これに対し県は、公共工事積算基準等に沿った設定であることや20%の経費補正をしていることを説明し理解を求めた。

 また適正な算定が困難な特殊な工法・備品等について単価や見積聴取先の明示を求めたのに対しては、「質問いただければ明示する」と答えた。

 その他の議論では「新築から改修へと主流が移っている。改修では予期せぬ対応が必要になることもあり、予算の枠で収まらないケースが今後も出てくるだろう。今のままでは修繕工事は怖くてできないということになってしまう。掛かった分については見てもらえるよう柔軟な対応をお願いしたい」との発言があり、県は「改修工事における変更がままあることは承知している。そうした際には予算を別から流用するなどし確実に反映できるよう心掛けていきたい」と応じた。

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