山梨市は新年度から南反保開発に向けた動きを活発化させる。市主体で幹線道路を整備するとともに、地権者による組合を立ち上げ面的な整備を進める計画。準備に関わる経費を新年度予算案に盛った。市は事業への理解が深まるよう、新年度から地権者個別に開発のメリット・デメリットなどの説明を行い、2023年度の事業化を目指す。
高木市長は先月の会見で開発への意気込みを聞かれ「相当意気込んでいる。この場所は眠れる黄金地帯。リニア駅から環状道路で15分程度で来られる。今後東京からのリモートでの仕事も増える。そうした新たな環境の受け皿として期待するし、どうしても成し遂げたい。」と力を込め、23年度の事業化を目指すとした。
南反保地区は小原東・西、上神内川、上石森地内にまたがる地域。開発の対象は50haだが、まずは農地が約半分を占めるJR線西側20haの事業化を目指す。大半が第一種低層住居地域で建物の9割が戸建て住宅。地権者は150人以上。耕作放棄地も多く、道路はほとんどが幅員4m未満だ。
現在想定している整備手法は、「土地区画整理事業」「街路事業」「狭あい道路拡幅事業」の3つ。土地区画整理事業は地権者らでつくる組合が事業主体。地権者から土地の一部を提供してもらい、それを売り、面整備の資金に充てたり公共用地としたりする。
街路事業は市主体で実施する幹線道路の整備。今回の場合、同地区内を南北に走る「北中学校東通り線」(北中線)と、東西に走る「市役所前通り線」(市役所線)の整備を計画する。市はJR線をまたぐため多額の費用が掛かる市役所線に先行して、北中線を整備したい考え。北中線は延長約1㎞、両側歩道を含め幅員は16mを見込む。狭あい道路事業では、道路の中心から2m分の道路用地が確保できるよう土地を寄付してもらい、道路を広げていく。
市は新年度予算案に関連経費3945万円を計上。地権者への説明や先進地視察のほか、現地に入らずにできる権利調査に充てる。市担当者は地権者の気運醸成には「先進地の成功事例を見てもらうのが一番。百聞は一見にしかずだと思っている」と話す。地権者説明会の実施など本年度の支援業務は玉野総合コンサルタントが担当。市は新年度はあらためて入札を行い、業務委託するとしている。
【写真=開発を計画する南反保地区】