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新たに「強靱化JV」制度/対象8000万円以上、とび土を追加/代表はB等級も可能

2021/03/12 長野建設新聞

 県は防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策による工事量の増加を見越し、復旧・復興建設工事共同企業体制度(以下、復興JV)を準用した「強靱化JV制度」を新たに運用する。復興JVの対象工事は土木一式のみで、代表構成員の格付けはA等級に限定しているが、強靱化JVではとび・土工・コンクリート工事も対象に加えるとともに、代表構成員の格付けをA等級またはB等級に緩和する。適用は今のところ2022年3月末までの時限措置としている。

 3月10日付1面で報じたとおり県発注の建設工事入札で東日本台風災害以降、応札なしによる「不調」案件が増加傾向にある。本年度は1月末現在で244件発生。前年同期に比べ54.4%(86件)増加しており、開札件数全体の14.2%に上っている。

 県は激甚災害の復旧・復興による工事量の急激な増加に加え、加速化対策により入札不調がさらに増加することを懸念。不調・不落対策として「見積もりを活用した適切な予定価格の設定」「特例発注標準」「地域貢献等簡易型の適用拡大」といった対策を打ち出している。強靱化JVも対策の一つで、一定の効果が確認されている復興JVを準用し、施工確保につなげる。

 強靱化JVの対象工事は税込み予定価格8000万円以上の土木一式工事またはとび・土工・コンクリート工事。3000万円以上を対象とする復興JVに比べ、工事規模の基準を引き上げる一方、対象業種を増やす。構成員数は2~3社(復興JVは2~4社)とし、全ての構成員が該当業種の入札参加資格を有し、県内に本店または営業所が所在すること。復興JVでは「構成員のうち1社は被災地域管内本店」との要件もあるが、強靱化JVでは適用しない。格付け要件は代表構成員が当該業種B等級以上。代表以外の構成員は土木一式の場合C等級以上、とび土の場合B等級以上。

 復興JV同様、技術者の特例により、共同施工の場合、専任の主任(監理)技術者は1人配置すればよい(他の構成員の技術者は兼任可)。

 建設部技術管理室は「復興JVを強靱化JVに改めるのではなく、災害では復興JV、通常工事では強靱化JVという選択肢を増やしたということ。仮に復興JVと同一の構成員で強靱化JVを編成する場合も、改めて登録する必要がある」と補足した。登録申請は随時受け付けている。

 各発注機関に対しては2月15日以降の公告案件から適用できることを通知済み。強靱化JVの入札参加を認める工事は復興JVと同様、発注者が判断し入札公告文に明記する。

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