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国土交通省関東地方整備局(建設)

関東整備局の土井局長/新年度インタビュー

2021/05/07 埼玉建設新聞

DXで業界底上げ


 関東地方整備局の土井弘次局長が2021年度における事業執行の主要な取り組みを建設専門紙への記者会見で語った=写真=。本格的にスタートするインフラ分野のDX(デジタル・トランスフォーメーション)推進の拠点となる「関東DX・i―Construction人材育成センター」と「関東DXルーム・Open Innovation Space」が4月にそれぞれ開所した。BIM/CIM・DX推進本部が定めたロードマップの進捗(しんちょく)を図り、建設業界の底上げ・魅力度アップに取り組む考えを明らかにした。

 DX推進は昨年7月の着任時から掲げており、20年度は準備期間で「10月には局内に『推進本部』を立ち上げ、ローカル5G免許の取得やi―Conモデル事務所に荒川調節池工事事務所の追加も行った」と説明。続けて「デジタルの分野は土木技術者には縁が遠いものだったので、環境整備として関東技術事務所(千葉県松戸市)内に『人材育成センター』、本局の18階には『DXルーム』を設置して、官民におけるインフラDX推進の未来を担う人材を育てる必要がある。また、交流および情報発信の拠点も求められている」とした。

 道路と河川におけるインフラ維持管理のDXが目指す姿は「道路は共通基盤となるプラットフォームを基に、いろいろな情報を集約できる仕組みづくりが必要となる。そこにAIや3次元データを使った維持管理を効率的に展開させる。また、河川においてはドローンなどによる測量データを蓄積・整理し、災害時における河床の変化などを確認して、復旧工事に役立てる」と語った。さらに「現状のデータを正確に持っていれば、変化したデータとの比較で、より高度な維持管理が可能となる」と解説した。

 新型コロナの拡大により遠隔臨場など変革した業務体制については「建設現場の遠隔臨場は新型コロナ対策として導入されたのではなく、業務の簡素化や効率化を目指したもので、具体的には予定価格3億円以上の工事に原則適用している。受注者にも評判が良いと聞いている」とし、そのほか「Web会議も本局と事務所の間にとどまらず、地方自治体や管内都県の建設業協会との意見交換会でも取り入れている。最初はコミュニケーションが取りづらい点もあったが、移動時間などの節約にもつながるので今後も実施していく」と述べた。

 防災・減災、国土強靱化に向けた道路の5カ年加速化対策については「21年度から5年間で全体事業規模15兆円程度という大きな後押しをもらった。具体的な開通箇所も公表し、実効性のあるものと言える」と説明。続けて「ハード面の整備も重要だが、建設業界全体として強い体質づくりを進めるのも大切だ。事業を着実に進めて、業界をレベルアップさせたい」と決意を示した。

【主要な取り組みを語る土井局長】

主要な取り組みを語る土井局長

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