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新潟で全国初の集水井点検カメラ研究会設立/会長に興和の齋藤常務

2021/06/16 新潟建設新聞

 全国に1万基を超える施設があると言われる「集水井」について、内部を点検するカメラに関する「集水井点検カメラ研究会」が10日、新潟県で設立され、活動を開始した。同会によると集水井点検カメラに関する団体の設立は全国で初めてとしており、会長に就任した興和常務取締役技術本部長の齋藤浩之氏は、工法の技術を確立してPRしながら全国に活動を広げていきたいとの考えを示した。

 設立総会後、北陸地方整備局や県土木部から来賓を迎え、工法の説明会が開かれた。齋藤会長は、興和が開発した集水井点検専用カメラについて「集水井内を安全かつ安価で点検できることが特徴。このようなことが評価され、今年の1月8日には第4回インフラメンテナンス大賞特別賞を受賞した。本研究会の設立に合わせるかのような形となり、タイミングの良い受賞となり問い合わせも増えている」と報告。続けて「集水井を整備するには多額の費用がかかっている。この重要な施設を長期間にわたり機能を維持するためには、予防保全型インフラメンテナンスの考えで機能不全になる前に点検や修繕を行い、施設の長寿命化を図っていくことが重要だと思っている。集水井点検カメラ工法は、カメラ機器や点検手法など改良していく点も多いと思っている。今後、現場で点検や情報交換を行いながら、この工法を新化させていきたい」との考えを示した。さらに「現段階で工法は新化中で、研究会員も勉強中であることから、研究会という名称でスタートした。今後、集水井の点検作業が増え、技術も確立されることで会員数の増加も考えていかなければならない。会員各社が集水井点検カメラ工法をPRし普及させることで、全国に広げていきたい」と述べ、会員各社の協力を得ながら会を発展させていきたいと決意を示した。

 同会の顧問には、元地すべり学会の会長を務めた新潟大学名誉教授の丸井英明氏が就任した。丸井顧問は「基本的な社会インフラの長寿命化が今後ますます求められてくる。今回研究会が取り上げている課題は、地すべり対策の中核を成す集水井の長寿命化の適切な維持管理における技術開発という誠に時宜にかなったもの。研究会の活動を通じ、当該技術が改良され、全国的にスタンダードになっていくことを皆様とともに期待したい」とエールを送った。

 北陸地方整備局河川部地域河川調整官の石田和典氏は「国交省では全国で10カ所の地すべり対策事業を実施しており、もっとも古いものは昭和37年に着手、集水井のほとんどは継続運用されている」と現状を報告。続けて「研究会設立はまさに時を得た取り組み。現場での効率性や安全性向上に貢献できるものと確信している。幅広い活用と技術向上に期待している」と述べた。県土木部砂防課の深田健課長は「本県では2031カ所の地すべり危険箇所を有し、毎年のように各地で地すべりが発生し、過去10カ年の地すべり発生件数は460件と全国一。本県では昭和27年から地すべり対策工事を実施し、現在では県内に1386基の集水井を設置している。近年では地すべり防止施設の老朽化が問題となっており、計画的な維持管理のために定期的な点検と継続的な補修が求められている。小型高性能カメラを有効活用し、地表面からの安全かつ効率的な集水井内の点検技術の向上に 現場作業の安全性向上に寄与するもの」と期待した。

 集水井点検カメラ研究会の役員は次の通り。※敬称略

 ◇会長=斎藤浩之(㈱興和・新潟県)

 ◇副会長=藤井登(奥山ボーリング㈱・秋田県)

 ◇理事=美谷島寿一(日本綜合建設㈱・長野県)、尾蔵丈房(㈱ホクコク地水・石川県)

 ◇監事=鈴木和弘(㈱興和)

 ◇顧問=丸井英明(新潟大学名誉教授)

 ◇事務局=㈱興和内

【写真=齋藤会長、発注者からも期待が寄せられた、新潟市内に行われた設立総会】

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