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茨城県つくば市

23年度から再整備工/建物屋根葺き替えなど/平沢官衙遺跡で設計着手

2021/07/08 日本工業経済新聞(茨城版)

 つくば市は史跡「平沢官衙遺跡」の再整備を計画している。順調ならば2023年度ごろから工事に着手し、複数年度を見込む。実物大復元建物の屋根葺き替えをはじめ、園路の改修と芝浸食対策、説明板の更新など、公園一帯の大規模修繕と改修を想定する。展示においては映像設備などの見直しや、インターネットとの連携を検討する。21年度に基本計画・基本設計、22年度に実施設計を行う予定。基本計画・基本設計は㈲ウッドサークル(中央区)が着手し、21年度をめどにまとめる。

 所在地は平沢353ほかで、北条大池の北側に位置する。史跡の指定面積は3万2445㎡。

 実物大復元建物は校倉、土倉、板倉の高式倉庫3棟で構成。3棟とも屋根の老朽化が目立つ状況。

 校倉と板倉の板葺き屋根は榑板などの、土倉の茅葺き屋根は下地以上の葺き替えを行うとともに、防腐剤の塗布なども検討する。葺き替えに際しては材質の変更も視野に入れている。また管理や見学用の階段で安全性の再確認を行う。

 当時の高式倉庫の柱位置表示は腐朽が進行していることから、仮復旧で使用している竹材を非腐朽性の材質に変更する考え。

 案内所ではトイレなどの水圧が低下しているため、水道管の整備や、貯水タンクの設置を計画する。

 説明板は、駐車場の総合説明板をはじめ、復元建物や遺構で個別のものなど計22基が点在している。改修ではQRコードなどを設置し、インターネットとの連携を図る。また案内所内においてパネル設置も検討している。

 園路では舗装改修や芝浸食対策、復元建物の鉄柵では出入り口の拡張を予定。このほか史跡周辺の文化財を含む見学環境の改善として、映像設備などの見直しを行う。

 平沢官衙遺跡は奈良~平安時代の筑波郡役所跡。03年に史跡公園として開園してから、各所で劣化が進んでいるため、史跡の再整備に取り掛かる。復元整備の完了から約20年が経過したことを踏まえ、史跡公園の保存活用を推進するとともに、さらなる付加価値を生み出したい考え。

 再整備事業の進め方では大規模修繕や改修といった早期的な環境整備を行った上で、20年ごとの中長期的な計画で再整備工事を実施していく方針だ。

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