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農地バンク活用で5者協定、25年度集積率80%目標、農地集積集約化を加速

2021/08/07 日本工業経済新聞(栃木版)

 農地バンク事業を活用した農地の集積・集約化に関する5者協定締結式が6日、宇都宮東武ホテルグランデで開かれた。農地バンクの活用促進を図り、2025年度までに本県担い手への農地集積率80%を目指す。5者の取り組み内容や計画の共有を図るため、推進会議を設置。互いに連携を深め、制度のメリットを農業者に周知する。

 式には青栁俊明県農政部長、鈴木正人県農業振興公社理事長、國井正幸県農業会議会長、菊地秀俊県農業協同組合中央会代表理事会長、南木好樹県土地改良事業団体連合会専務理事らが出席。5者が協定を取り交わし、連名で署名した。

 青栁部長は「本県は広大な農地と大消費地に近い立地利便性を有すにもかかわらず、過去20年間で農業従事者が4割減少した。とちぎ農業未来創生プランに基づき、稼げる農業を展開し農村地域が活性化する好循環を生み出す就農環境を築いていく」とあいさつ。

 鈴木理事長は「14年3月に知事から農地中間管理機構の指定を受けた。7000ha以上の農地を貸借し、意欲ある担い手にまとまった農地を提供。農地バンク事業は重要性を増している。市町の農業公社の窓口となり、知事指定機関の役割を果たす」と意欲。

 國井会長は「本県の農業委員は385人、農地利用最適化推進委員は562人、計942人の専門家を抱える。県内の人・農地プランの作成状況は関東トップクラス。遊休農地の発生抑制と解消のため、耕作農地を良好な状態で次なる担い手につなぎたい」と述べた。

 菊地代表理事会長は「JA栃木中央会は、安全安心な国産農産物を安定供給できるよう地域農業を支えている。担い手確保対策のため、新規就農者のサポートに力を入れている。農業経営が継続発展できるよう様々な支援策を講じたい」と決意を語った。

 南木専務理事は「土地改良区や市町と連携し、農地の集積や集約化、農業基盤整備を一体的に推進してきた。その道のエキスパートが多数在籍し、団体の力を最大限に発揮したい。組織全体で研さんを深め、目的達成に向けて全力で取り組んでいく」と抱負。

 農地バンクは農地の中間的な受け皿となり、農地をまとめて担い手に貸し付ける制度。高齢化によるリタイヤ農業者や農地相続者ながら就農を希望しない所有者の間に県農地中間管理機構が介在し、意欲的な従事者の希望に沿った農地を提供する。

 推進会議は各団体が得意分野の強みを生かし、有効な事例を横展開する。課題は①担い手への農地集積率の伸び悩み②農地バンク制度のメリットが農業者に十分理解されていない②農地集約の加速化-の3つ。効率的な農業経営を確立していく。

 役割分担は県が人・農地プランの実現や広域営農システム構築支援、県農業振興公社は円滑な事業の実施と市町農業公社支援、県農業会議は農地利用最適化活動の強化、JA栃木中央合は各JA組織力の有効活用、県土改連は基盤整備の際の農地バンク活用技術支援。

 人と農地をつなぐ未来の設計図「人・農地プラン」は県内25市町675地区で作成。地域の話し合いで5~10年後に地域農業の中心的な役割を果たす農業者(中心経営体)を明確にし、将来像を描く。地域ぐるみの農地バンクへの登録が推奨されている。

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