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栃木県那須塩原市

那須塩原市新庁舎、22年度に計画一部見直し、22年度設計、26年度完成目指す、分散型地域づくりを反映

2021/08/21 日本工業経済新聞(栃木版)

 那須塩原市の渡辺美知太郎市長は、アフターコロナの社会環境変化に対応する「分散型地域づくり」の推進を表明するとともに新庁舎の考え方や建設スケジュールを示した。新庁舎は今年度に有識者会議を設置してあり方を検討。2022年度に分散型地域づくりのロードマップを策定し、新庁舎建設基本計画の一部を改定する。新庁舎は22年度後半に基本設計に着手。23~24年度に実施設計、25~26年度の2カ年で建設工事を進め、26年度の完成を目指す。

 分散型地域づくりでは東京一局集中から地方分散への流れを引き込みながら、テレワークやデジタル技術の普及によって集落エリアへの分散も進むことに対応。DX(デジタル・トランスフォーメーション)を軸に行政機能を分散・オンライン化する。

 方向性としては公民館などに窓口や福祉相談といった業務を担う(仮称)地区市民サービスセンターを構築し、テレワーク環境も整備。地域密着の市民サービスを提供するとともに、地方分散の受け皿となる「交流」「教育」「ビジネス協業」の拠点とする。また、持続可能な防災避難拠点としての機能を強化する。

 市内は本庁舎、西那須野支所、塩原支所、箒根出張所で市役所業務を実施。公民館は15カ所。黒磯地区は主に中学校区単位、西那須野地区は主に小学校単位で設置され、塩原地区は塩原公民館とハロープラザの2カ所。

 分散型地域づくりの具体的な実施方法(ロードマップ)の策定にあたっては、対象公民館の選定や公民館で提供するサービスの範囲、職員配置、窓口アウトソースやDX化、再エネ活用の検討、施設準備コストの洗い出しとスケジュール策定などを実施する。

 新庁舎については建設に関係するライフサイクルコストを大幅に削減し、削減した費用を分散型地域づくりの整備費に転換。那須広域エリアにおける行政モデルに挑戦する。

 また新庁舎はDXと環境のシンボルと位置付け、先進技術を積極的に採用。省エネと創エネを導入し、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)に挑戦。災害時対応における再エネ活用などを通じ、スマート社会の実現を目指す。

 新庁舎のあり方を検討する有識者会議は当初、9月の開催を予定。新型コロナウイルス感染症の状況を見極めて日程を調整する。庁舎は実施設計の完了時期によって24年度にも着工する可能性がある。

 基本計画によると、新庁舎は免震構造で規模は延べ床約1万7000平方m。建設予定地は那須塩原駅に近い前弥六南町7-1ほか。市有地周囲の民有地約2万5600平方mを取得し、約3万平方mの敷地を確保する計画。新庁舎のほか緑地を配置し、災害時やイベントなどに活用する。

 概算事業費は約97億8000万円。工事費は建築工事費に92億7520万円、外構(車庫棟含む)に5億円を試算。発注方法は今後検討する。

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