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栃木県足利市

足利市、新市民会館の候補地再検討、基本構想をシアターワークショップに委託

2021/08/24 日本工業経済新聞(栃木版)

 足利市は、新市民会館建設候補地の再検討に着手する。2月に新市民会館の建設候補地を市民プラザ敷地(朝倉町)に選定し、既存施設を順次建て替える整備方針を公表。5月に就任した早川尚秀市長は「議論や説明が不十分であり、クリアすべき課題が多い」と見直しを指示。9月補正予算案に基本構想策定委託料900万円を措置し、劇場コンサルタントのシアターワークショップ(東京都)と随意契約の予定。市内外から幅広い意見を募り、23年3月に基本構想を策定する。

 10月から市民の生の声を拾い上げる市民ミーティングやメールによる意見募集を開始し、市民検討委員会での議論の叩き台とする。市民ワークショップ、郵送によるアンケート調査、興行者へのヒアリング、市民会館ゆかりの芸術家の参画を計画している。

 市民会館は1966年の供用開始以来、築55年が経過。県は2017年の第2期県立高校再編計画で足利女子高校の共学化を打ち出した。足利女子高校校地は2・4haと県立普通科高校の敷地の中では最も狭く、新校舎建設で学校行事が制約されてしまう。

 県と市は20年1月、市民会館土地建物(有楽町)約1・4haを県に譲渡する基本合意を締結。市民会館は解体し、跡地は足利女子高校と足利高校の統合による新足利高校校舎建設用地となる。譲渡方法は県有地(現足利高校)と市有地の等価交換方式。

 市民会館は市中心部の足利女子高校に隣接。敷地は1万5071・76平方m。大ホール棟はRC造地上4階地下1階建て延べ4433平方m、会館棟はRC造地上2階地下1階建て延べ3878平方m。市民会館は6月末に閉館し、県が解体工事業者を選定済み。

 市は2月、市民会館機能の市民プラザ移転を表明。身障者スポーツセンターを解体撤去し、跡地に本館と西館の機能を集約する「新本館」を建設。引き続き本館と西館を解体撤去。西館跡地と西側駐車場に「新大ホール」を建設。文化ホールは継続利用方針だった。

 建設候補地選定過程では①用地交渉の長期化や多額の買収費がかかる民有地は避け、既存の市有地で適地を選定②大規模ホールのない期間を可能な限り短縮する-との観点から検討。その結果、順次建て替えながら新会館を整備するのが妥当と判断した。

 早川市長は市広報「あしかがみ」8月号のコラムで「6月市議会定例会では統合は適当ではないという意見があり、議論が十分ではなかった。利用者、主催者(興行者)それぞれの視点から求められる機能・役割は何か複合的判断が求められる」と心情を吐露した。

 市は19年1月に大型公共施設更新に向けた中期財政収支見通しを公表。改築を計画していた4大施設(消防本部、斎場、南部クリーンセンター、市民会館)のうち市民生活に直結する3施設は計画通り更新の基本姿勢を示し、市民会館改築は先送りが決まった。

 市民会館基本構想策定に向け、市は公募型プロポーザルを導入。複数の提案者の中から、シアターワークショップを委託者に決定。17~18年度の2カ年間で基本構想策定を進めていた。財政収支悪化を避け、18年11月に契約を途中解除した経緯がある。

 基本構想の中間報告では建設候補地を①現在の市民会館②市民プラザ③足利競馬場跡地(五十部町)-の3カ所を提示。一方で市は20年3月に策定した「市公共施設再編計画」で市民会館・市民プラザ機能の集約化を検討するという再編の考え方を示した。

 再開する基本構想では中間報告や市公共施設再編計画内容を踏まえ、学識経験者や各種団体代表らで構成する市民検討委員会を設置。シアターワークショップが委員会運営に出席し、専門的な立場で助言や提案でサポートする。最終的に機能や規模を練り上げる。

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