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ニットク自走式快適トイレカー、設置も女性一人で楽々

2021/08/26 新潟建設新聞

 ホイールローダー、ロータリー除雪車を中心に、除雪機や建設機械の販売・修理、リース業など除雪の総合デパートとして地域をけん引するニットク(中島孝行社長、魚沼市)は、自走式の快適トイレカーを商品展開に加え、さらなる事業拡大を図る。2016年度に国の快適トイレ制度が導入されて以来、各社さまざまな商品を開発してきたが、同社営業部で設計開発を担当する榎本有希子氏は「女性目線で、選ばれるトイレ商品を目指す」と意欲を見せる。

 開発のきっかけは、女性従業員が現場の仮設トイレに不満があり辞めてしまった、と嘆く取引先企業からの相談だった。新商品の開発を考えていた同社は相談を受けたことも踏まえ、20年度から営業部に設計開発部門を設立した。榎本氏は「主に製造担当の荒井和孝と2人タッグで試行錯誤を重ねました」とスタート時を振り返る。

 テストカーも兼ねた初号機はことし6月に開かれた民間の防災キャンペーンで存在をアピール。一見してトイレと分からない車両に多くの参加者が関心を示した。

 「パッと見て『トイレだ』と思われない外見にしようと決めました。イベント会場やキャンプ場、山深い建設現場、避難所、どこでも違和感なく安心して利用できるトイレ環境の提供がコンセプトです」

 林道開発やへき地の工事現場では、仮設トイレを運ぶ作業にも時間、人手を要する。同社開発のトイレカー「Restroom vehicle(レストルームビークル)」は、軽トラックをベース車にした。積載量を厳守しているため、普通車運転の免許さえあれば運搬可能。吊り下げ式の仮設トイレ設置では玉掛け免許やユニック車のレンタルなどコストがかかる。女性作業員一人で移動から設置まで対応できる点も強みだ。間もなく2号車が納車され、3台目以降から販売やリース事業に着手する。

 国内に同様の軽トラックベースのトイレカーはあるが、ニットクモデルは4WDの寒冷地仕様で耐久性もある。配管部には断熱材を使用した。内部はシンプルに男性用小便器1基、洋式便器1基、手洗い場など。

 「ベースが軽トラックなので女性でも簡単に運転可能、駐車すれば設置も完了。温水洗浄便座仕様で、内装は清潔感のある白を基調にした。USB給電装置など時代に合わせた設備も取り付けた。今後は車両のさらなる軽量化、安全性の追求、発電設備など―検討を深め付加価値を高めていきたい。公共工事、民間フェス、災害発生時、どんな時でも社会の役に立つトイレにしていきたい」と話す。

【写真=自走式快適トイレカー、トイレカーの内部】

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