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訓練校で即戦力育成 利根沼田テクノアカデミー

2021/08/25 山梨建設新聞

 即戦力となる建設職人を育成する訓練学校が群馬県沼田市にある。板金、瓦、大工、設備、左官、ドローンの各コースを設け、基本的な安全確認から現場作業まで一連の流れを実習。受講料は各コース120万円(税抜き)だが、雇用保険加入者であれば国・県の補助により実質無料で受けられる。さらに訓練期間に発生する給与の一部も助成されるため、送り出す企業の負担も軽減される。廃校を活用することにより設立経費を大幅に縮減した。

 2016年に青柳剛氏(全国建設業協同組合連合会会長)らを中心に設立。廃校を活用しているため遊休施設の活用策としても注目され、国や県、地元の沼田市も全面的に協力した。食事は地元の人に地元の食材を使った料理を作ってもらうため地域の活性化にも寄与している。

 同校の目的は専門工事の技能や知識を短期間で身に付け、即戦力となる人材を育成すること。また現場に出る前に実践的な訓練を行うことで未知の世界に踏み出すことへのストレスを軽減。離職率を下げる効果も期待できるという。

 訓練は現場での安全確認など基本動作から始める。大工技能コースでは、釘打ちや木材の切断、のみ・かんなを使っての実習。一通りの電動工具の使い方も教わる。訓練日数はコースにより異なるがおおむね60日程度だ。

 建設業の人手不足は全国共通の課題。同校によると、青森や茨城などでも同様の学校設立の動きがあり、同校の評判を聞き視察に訪れている。青森ではすでに廃校を借りる所まで計画が進む。茨城でも来年の開校を目指し詳細を詰めているという。

 同校では人手不足対策の一環として、さまざまな技術を身に付けた多能工の育成にも力を入れる。同校担当者は「大工さんがリフォームをする際に、コンセントの移動やエアコンの脱着、配管の付け替えなど他業種でないとできないことが出てくる。人手が足りないとその都度現場が止まるが、多能工であれば、そうしたことが解消できる」と話し、10月をめどに大工を軸とした多能工の専門コースを立ち上げる予定だ。

 ことし6月には利根実業高校2・3年生を対象に職業訓練体験会を開催。実習体験をしてもらうとともに、入職を支援するため地元建設企業の紹介も行った。技能検定の対策講座を実施するなど資格取得も後押ししている。


【写真1=現場で生かせる技術を習得】

【写真2=廃校を活用し設立】

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