記事

事業者
栃木県栃木土木事務所

栃木土木事業概要、111カ所に87億投入、壬生~下野間を重点整備、巴波川捷水路設計に着手

2021/09/25 日本工業経済新聞(栃木版)

 県栃木土木事務所は、2021年度の事業概要をまとめた。111カ所に総額87億4200万円を投入。道路・街路事業に43億7190万円、河川・砂防事業に43億7010万円を配分した。栃木市の河川激甚災害特別緊急事業の巴波川は捷水路詳細設計を三井共同建設コンサルタント(東京都)に委託し、22年度の地下トンネル着工に備える。永野川は災害復旧助成事業の改良復旧を着々と進めていく。小山市の杣井木川排水機場は調整池基本設計を三協技術(仙台市)に委託した。壬生町~下野市間の主要地方道羽生田上蒲生線は街路事業と道路事業を導入し、沿線を拡幅改良する。(4面に主要事業箇所)

 【巴波川】

 巴波川沿いに市街地が形成され、重要な観光資源の蔵の街並みが並ぶ。伝統的建造物を保存しつつ、短期間で最大限に効果を発揮する手法を検討。JR両毛線(沼和田町)~主要地方道栃木粕尾線の荒川合流点(大町)間の2・4㎞区間に地下捷水路を築造する。

 地下トンネルは内径5500㎜、土被り10m、掘削方法はシールド工法。流入流出部を除き、管路が公共用地に収まるのが利点。工事費150億円、用地補償費4億円、調査設計費1億円と見積もった。現河川の堤防は一部嵩上げする。25年度の完成を見込む。

 【永野川】

 永野川の改良復旧は下流の国道50号(大平町西水代)から主要地方道栃木佐野線(皆川城内町)までの12㎞のうち10・6㎞が事業区間。河積拡大に向け河道掘削、護岸、堤防嵩上げ、堰改築、橋梁架け替えを緊急・集中的に実施する。

 川幅は場所によって50~100mと異なる。天端幅は4mに統一し、河道掘削により毎秒620立方mを流下させる。溢水や破堤箇所の工事を優先し、出水期の再度災害防止の対策を急ぐ。23年度の完成を目指し、総事業費192億円を投じる。

 【杣井木川】

 杣井木川は栃木市境町の源流から小山市押切で永野川左岸に合流する流路延長9・2㎞、流域面積12平方㎞の河川。流域は巴波川と永野川の堤防に囲まれているため、永野川合流点に排水機場を整備。大雨時には永野川の水位上昇に応じ、ポンプ排水している。

 ポンプ増設と約8haに約16万立方mを貯留する調節池を築造。ポンプは口径900㎜の立軸軸流ポンプ2台を増設し、毎秒5㌧の排水能力を確保。現況ポンプ毎秒7㌧に加え、毎秒計12㌧に増強する。26年度の完成を目指し、総事業費は23億円。

 【若草町】

 壬生町の都市計画道路3・3・901号おもちゃのまち下古山線若草町は、21年度は東武鉄道跨線橋の4車線化へ向けた用地調査や用地買収。東進方向は前後区間が4車線なのにもかかわらず、跨線橋が3車線(東進1車線、西進2車線)の変則形。

 西進方向は主要地方道宇都宮栃木線に向かう右折滞留長が不十分で渋滞が発生。東西部の延長605m(東側384m、跨線橋11・4m、西側210m)区間を幅員25mに拡幅改良。両側の副道5mを含む部分は32mを確保する。総事業費は21億円。

 【下古山】

 若草町工区の先線となる下野市境では、主要地方道羽生田上蒲生線下古山の延長700m区間の4車線化25mへの拡幅改良を計画。壬生町側は4車線化されているものの、関沢橋~平成橋間は2車線。ボトルネック状のため、慢性的に交通渋滞が発生している。

 1級河川姿川に架かる関沢橋は、1965年度に築造。橋長59mの3径間。下部工は逆T式橋台2基と小判型橋脚2基。側道橋が備えられている。21年度の橋梁詳細設計はピーシーレールウェイコンサルタント(宇都宮市)に委託した。総事業費は18億円。

 【下野SIC】

 下古山工区の先線となる羽生田上蒲生線上古山の一部は、北関東自動車道と交差する平成橋付近から分岐し高速道路の側道機能を有す。下野スマートIC整備計画では高速道本線に乗り入れるランプ部や変則車線の設置により、県道の付け替えが必要。

 外側に緩いカーブを描く形で延長600m(幅員8m)区間を移設。道路詳細設計はシー・アイ・エス(宇都宮市)が担当。21年度は用地買収、埋蔵文化財発掘調査、一部工事。沿線には倉庫型店舗を展開するコストコが進出する。総事業費は5億円。

 【大師町】

 壬生町の一般国道352号大師町は、西側の主要地方道宇都宮栃木線本丸交差点付近~東側の一般県道上田壬生線大師町南交差点間の延長550m(延べ1100m)区間を改良。歩道幅を広げ、幅員を14・5mに拡幅。下部に電線共同溝を埋設する。

 幅員構成は車道3・25m×2、両側に自転車通行帯1m、外側歩道は3m×2。歩行者や自転車の通行安全性を向上させる。歩道詳細設計をオリエンタル技術開発(栃木市)が担当。21年度は用地調査、用地買収に入る。総事業費は15億円。

紙媒体での情報収集をご希望の方は
建設新聞を御覧ください。

建設新聞はこちら