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栃木市、永野川左岸雨水幹線、貯留量1万7500m3、年末に調整池築造を公告

2021/10/12 日本工業経済新聞(栃木版)

 栃木市は、一部設計を変更した公共下水道雨水幹線管渠整備事業「永野川左岸第1排水区」を再開する。片柳4丁目に築造する調整池の貯留容量は1万7500立方m。年末に調整池基盤整備工事の事後審査型一般競争入札を公告し、年明けに開札する。工期は10カ月を見込んでいる。予算額は3億8000万円。下流側の「永野川左岸1号幹線」の管渠延長540m区間を1期工区、上流側の「永野川左岸2号幹線」の管渠延長760m区間を2期工区に設定。1期工区は2026年度、2期工区は28年度の完成を目指す。

 永野川左岸第1排水区は12年度に事業認可を取得。14年度の基本計画策定を契機に事業化した。事業範囲は片柳町4丁目から薗部町3丁目までの総延長1300m(排水面積102ha)。1級河川永野川付近の浸水被害防止と周辺部一帯の雨水対策強化が目的。

 15年関東・東北豪雨の際は、調整池築造予定地の片柳市営住宅団地96棟(解体撤去)の1階が床上浸水。19年東日本台風の際は永野川の複数箇所が決壊した。市内は2度にわたる大規模水害に見舞われ、永野川を管理する県との協議調整に時間を要した。

 国は永野川下流側の国道50号(大平町西水代)~上流側の主要地方道栃木佐野線(皆川城内町)間の延長10万6000mを災害復旧助成事業(19~23年度)に採択。県は総事業費192億円を投じ、河道掘削、護岸、堤防嵩上げ、堰改築の改良復旧を施工中。

 県の改良復旧で河積が拡大するのに伴い、市は当初予定の雨水調整池2カ所で総貯留容量2万7300立方mの規模を縮小。急きょ調整池築造工事の入札手続きを延期した経緯がある。調整池詳細設計は1月末、栃木県用地補償コンサルタント(栃木市)に委託した。

 永野川左岸第1排水区は、市街化区域南西部に位置。東側は栃木女子高校や栃木西中学校が立地、西側は永野川が南北方向に貫流、南側はJR両毛線が東西方向に横断、北側には錦着山公園が立地、中央部を一般県道栃木環状線が南北方向に縦断している。

 1期工区1号幹線540mは、主に旧永野川土河道を優先的に改修。コンクリートブロック張りの標準断面幅3・8m、高さ2・4mの開渠。上流部起点は栃木環状線西側から南下し、途中から旧河道を外れて雨水調整池横を通り直線的に永野川流末部に到達する。

 下流に向かうほどコンクリート水路の天端と地盤高との差はなくなる。雨水幹線に並行する形で管理用道路を築造し、生活道路への開放を検討する。排水樋門1基は毎秒1・8立方mを排水するポンプ2台を備える。最大で毎秒3・6立方mを排水する。

 逆流を防止するフラップゲート手前に除塵機を設置し、水路を流れるごみを除去する。新樋門完成後に既設樋門を撤去する。永野川の水位が上がり流下能力を上回る出水があった場合、一時的に雨水調整池に貯留。面積は1・1ha、水深は2m規模。

 調整池築造予定地の川連城跡埋蔵文化財発掘調査を済ませており、掘削部を存知。現状は粗造成が終わった状態。ポンプ施設詳細設計は日本水工設計(東京都中央区)、水質調査と地質調査は個別にパスキン工業(宇都宮市)に委託している。

 2期工区2号幹線760mは、1期工区を北東方向に延伸する。起点は栃木環状線西側で、栃木西中学校方面へ向かう。1期工区とは異なり、管路は既存の市道下に布設する暗渠方式。事業費の50%を国庫補助、45%を起債、5%を一般財源で賄う予定。

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