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栃木県栃木土木事務所

栃木土木の永野川改良復旧、19工区で護岸工、JR両毛線橋架替え、堰と橋梁3カ所設計

2021/11/11 日本工業経済新聞(栃木版)

 県栃木土木事務所は、栃木市を流れる1級河川永野川の改良復旧事業10・6㎞で19工区の護岸工を発注したほか、架け替える千部橋、両明橋、諏訪橋の3橋梁と改築する榎本堰、新西野田堰、二杉堰の3取水堰の詳細設計に着手。3橋梁は河積阻害の少ない2径間で諸元をまとめる計画で、3カ所の取水堰は固定堰から自動転倒堰に改善する見通し。また、蛇行している河道を直線的に付け替え再整備するJR両毛線橋梁は、JR東日本と調整を進め委託時期を検討していく。

 永野川は、令和元年東日本台風の豪雨出水で越水による家屋の浸水や堤防決壊、護岸崩壊、橋梁の損傷など甚大な被害が発生した。県は、特に被害の大きかった大平町西水代の国道50号から上流の皆川城内町の主要地方道栃木佐野線まで12㎞区間のうち、整備済みを除く10・6㎞について災害復旧助成事業を導入し整備に着手した。

 事業は▽河道掘削▽護岸整備▽堤防嵩上げ▽橋梁架け替え▽取水堰改築▽河川の付け替え―などを計画。東日本台風と同じ規模の洪水に耐えられるよう、越水や決壊による浸水被害の解消を目指す。事業費には192億円を試算した。

 工事は特定JVを編成した県内業者が担当。今年度発注した5件を含め、19工区で堤防嵩上げや護岸の進捗を図っていく。これまでの工事着手率は約50%。

 構造物のうち橋梁は、道路橋3橋を架け替える。下流側から主要地方道岩舟小山線の千部橋は、直下流側の千部橋を撤去・統合して架け替える。現在の橋梁は、1962年度架設の橋長75mの3径間RC―T桁で、幅員が車道のみ7m。新橋は側道橋を統合して幅員13・5mに拡幅し、橋長も河川幅の100m規模を想定した。橋梁詳細設計は、シー・アイ・エス(宇都宮市)が担当。

 市道橋の両明橋は、34年度に架設された7径間のRC橋で、幅員が4・7m。新橋は車両の交互通行が可能な6mを確保する計画で、橋梁詳細設計は、橋梁コンサルタント(東京都中央区)が担当している。

 諏訪橋も34年度架設のRC橋で、対岸の地区を結ぶ生活道路として利用されてきた。洪水で落橋しており、原形復旧を前提に現橋幅員の3mで架け替えを計画した。橋梁詳細設計は、富貴沢建設コンサルタンツ(宇都宮市)が担当している。

 JR両毛線橋梁は、永野川が大きく左に蛇行していた箇所に架設されていたため、洪水で落橋した。現在は復旧し、列車が運行されているものの河道の付け替えに伴い架け替える。県の予備設計の成果を踏まえ、JR東日本に設計・施工を委託する予定。架け替えに当たっては、右岸側を引き堤し、直線的に河川法線を是正して安全性を高めるとした。

 改築する取水堰の詳細設計は、下流側から榎本堰を栃木県用地補償コンサルタント(栃木市)、新西野田堰をピーシーレールウェイコンサルタント(宇都宮市)、二杉堰はダイミック(同)が担当している。

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