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事業統合さらに深掘り/研究会が近く検討経過報告/上田長野地域水道事業広域化

2021/11/12 長野建設新聞

 長野市、上田市、千曲市、坂城町地域の水道事業について広域化を検討する上田長野地域水道事業広域化研究会(座長=小林透・県公営企業管理者)の第3回会合が10日に県庁で開かれ、検討経過報告の内容について議論した。幹事会が策定した案では、広域化の形態について「『事業統合』による広域化の研究をさらに進める」と記載。これに対して出席者からは「事業統合ありき、唐突と捉えられはしないか」との意見も出た。研究会は今回の議論も踏まえ検討経過報告を策定し、月内にも公表する。

 上田長野地域の水道事業広域化については今年5月、厚生労働省による「水道施設の最適配置計画の検討」の結果が示され、50年間の整備概要=右図=として「自然流下を利用し、①最も標高の高い染屋浄水場(上田市)から犀川浄水場(長野市)までの送配水ルートを整備②浄水場は段階的に廃止またはダウンサイジング」することにより、整備事業費を約22%削減(621億9700万円→483億600万円)、維持管理費を約3%削減(735億8300万円→713億3600万円)できるとしている。

 今回示された検討経過報告案では、広域化の形態について「事業統合」「経営の一体化」「用水供給事業の新設」「施設の共同化(個別経営)」の4形態8パターンで検討したことを記載。その上で、現時点では「広域化を『事業統合』により進めることが最も大きなメリットを得られると考えられる」とし、「『事業統合』による広域化について研究をさらに進める」と整理した。

 また今後、研究をさらに進めるに当たり、財政シミュレーションを実施する際の検討事項として「広域化に伴う水道施設等の整備内容」「組織体制」「水道料金の考え方」「広域化のスケジュール」の4点を記載。出席者からは「各項目の留意事項に含まれている『災害等への対策の強化』は重要で、財政効果とは相反する面もある。検討事項として切り出すべき」との意見が出た。

 検討経過報告を策定・公表した後は、住民や議会への説明などを実施し、来年3月には広域化の方向性報告案を取りまとめる。

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