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土木事務所、県管理道路に除草剤試行、飛石事故抑制しコスト縮減

2021/12/02 日本工業経済新聞(栃木版)

 県管理道路の維持管理に、除草剤を試行する動きが広がり始めた。2019年4月に県宇都宮土木事務所が先行し、今年度からは矢板土木事務所でも試行を始めた。道路及び河川等維持管理業務の受託者が担当しており、採用している土木事務所では、予算額に応じて年2回から3回の除草剤を散布している。

 除草剤の活用は限られた維持管理予算の中で、効果の上がる手法を検討した結果。本県では国土交通省宇都宮国道事務所と宇都宮大学との共同研究・現場における検証を通じて広まった経緯がある。

 県宇都宮土木事務所保全部によると、通常の草刈り機で除草作業を行うと、車線規制による渋滞や飛石事故の発生が懸念させるなど道路利用者の円滑な通行が妨げられることも多いという。

 除草剤は生え初めに効果が高く、草刈り機による除草作業に比べ人件費・日数を含めコストは3分の1程度に縮減される。特に縁石周辺に土砂堆積している区間は、除草と合わせて土砂撤去、路面清掃を実施することで雑草の繁茂を抑制し、除草効果を高めることができるとした。

 散布範囲は縁石や中央分離帯などで、民地境界側の法面や児童の通学路には散布していない。利用者の少ない時間帯を選定することも重要という。散布範囲が限定されるため、草刈り機の利点を生かしながら除草剤を交えたハイブリッドによる対策で一層の効果の発現を目指したいとしている。

 受託者からも車線規制を行う必要がなく、草刈り機のように刈った雑草を燃やす手間もないためCO2排出を抑制。毎年のように発生している飛石事故を未然に防ぐなど、除草剤の効果は大きいとしている。

 使用する薬剤は「登録農薬」とし、残留性はなく希釈倍率を順守しているという。散布に当たっては範囲を限定し、現地に看板を設置するなど散布箇所の事前予告や歩行者がいないことを確認するほか、風の強い日は散布しないよう配慮して行っている。

 また、噴霧器による散布は避け、ジョーロなど大粒の散布口を用いて行う。散布後は、使用した年月日、場所、薬剤、使用量を記録し、5年間保管する。

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