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巴波川、通気孔を設計に反映、捷水路の実験動画公開

2021/12/10 栃木建設新聞

 県は9日、栃木市の巴波川で整備する地下捷水路(大町~沼和田町)の模型実験動画を公開した。捷水路トンネルは延長約2・4㎞。実験では流入施設(立坑)やトンネル、流出施設(同)の水の流れや水位、水圧などを確認。流入立坑付近のトンネル部で水の流れを阻害する空気だまりが発生し、空気を抜く通気孔の設置が必要なことが判明した。県では実験結果を設計に反映させる。動画はユーチューブで公開している。

 実験は洪水を安全に流す施設形状を決定することが目的。模型は詳細設計業務を受託している三井共同建設コンサルタント(東京都品川区)が流入・流出部の施設模型とトンネルを含む全体模型を製作した。詳細設計の履行期間は2022年6月28日。

 入流施設は荒川との合流点付近に設置する計画。実験では沈砂機能を持つ4つの水路が設けられた流入施設から水が立坑を落下。巴波川本川にも分流施設を設置した。

 流入立坑では水の落下とともに空気が混入し、立坑付近のトンネル上部に空気だまりが発生した。空気だまりによって計画流量が確保できなければ本川の水位が上昇。また、空気の逆流による騒音が懸念されるため、これら課題への対策としてトンネル内の空気を外に抜く通気孔が必要とした。通気孔の数や構造は今後確定していく。

 トンネルは内径5・5m、深さ約10m、計画流量は毎秒60立方m。ルートは流入部から主に県道の栃木粕尾線、宇都宮亀和田栃木線、南小林栃木線と流出部付近の本川の直下に築造。流出施設は学悠館高校東側の平成橋付近の本川に設置する。

 流入部付近では一部用地を取得する。用地交渉や用地補償を進めて22年度にトンネル工事に着手。25年度に完成させる予定。

 トンネルが整備される栃木市の中心市街地は2015年の関東・東北豪雨や19年の東日本台風で巴波川が氾濫し、大規模な浸水被害が発生。県は20年度に河川激甚災害対策特別緊急事業に着手した。事業費は約153億円。

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