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全国的にアドブルー不足の兆し

2021/12/14 群馬建設新聞

トラックをはじめ、重機などディーゼル車に欠かすことのできない尿素水(アドブルー:AdBlue)が品薄となっている。ガソリンスタンドでは品切れの状態が散見される。仮に在庫があったとしても、量を絞っての定量販売となり、加えて、商品自体の値段も高騰している状況。原料となる尿素不足が背景にあり、不安定な状況は続くとされる。除雪の本格化を前に、尿素水の確保が喫緊の課題となる。

複数の建設業者に対して取材を行ったところ、いずれも尿素水不足を認識しており、今後の先行きを不安視する声が目立った。自社でストックしている尿素水で1~2カ月程度の対応は可能だという。その間に新たな在庫を確保できなければ、施工中の現場が止まることも現実味を帯びる。山間部の企業は、これからの降雪シーズンを前に「出動回数によって消費量が変わる。最悪の場合は除雪作業に支障をきたすこともありうる」と不安を口にする。

この事態の背景には、原材料となる尿素不足があがる。尿素水の製造メーカーによると「尿素の仕入れは中国からの輸入に頼っている部分がある」という。中国は石炭不足に端を発し、尿素の製造が追い付いていない。同社は、中国以外にも尿素の仕入れ先はあるものの、製造量は落ち込んでいるとし、従来の製造ペースに回復する時期は不透明とした。こうした状況を敏感に察知した各業界が在庫確保に走ったことも重なり、市場での製品不足につながっている。コロナ禍初期のマスク不足に似た現象が起こっているようだ。

尿素水を必要とする業界は建設業だけではない。運送業や製造業でも欠かすことのできない存在だ。近年のディーゼル車は尿素水なしでは、稼働しない仕様となっている。製品不足が継続・加速すれば、業界内外での取り合いは必至。除雪のようなライフラインに関わる作業などへ優先的に供給するような仕組みを作る必要がある。

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