埼玉県川口市は、14年度以降に廃止される領家下水処理場の施設解体撤去調査を7月以降に委託する。撤去工事は15年度を予定。施設撤去後は2万3、016㎡という広大な跡地が確保されることから、跡地利用計画が注目される。市は今後、各課からの要望を受けながら、14年度に整備方針をまとめる。埼玉県内でいち早く設置された同処理場は、昭和34年から40年にわたって稼働し続けてきたが、市、県の幹線整備によりその役目を終える。
領家下水処理場は、都県境の荒川沿いの領家4-9-3に建設され、市内で最も早く下水道事業が着手された元郷、領家、朝日、南平など、現在の南部第4-2処理分区573・7haの雨水・汚水を処理。1日最大処理能力は晴天時で3万7、500立方m、雨天時は同7万5、000立方m。
今年度計上した解体撤去調査費は、建設当時の設計図などが残っていないため、地上に設置されている電気設備などの構造、特に沈砂池、貯留タンク、濃縮槽など、地下に埋設されている構造物の概要を整理するとともに、解体方法などをまとめる。
解体撤去後の跡地2万3、016㎡という広大な敷地の有効利用については全庁的に今後、検討していく。現段階では具体的な整備案はないが、公園的な機能であれば上屋のみを撤去、施設建築案が浮上すれば、地下埋設物の撤去も必要となるため、15年度に予定している解体工事前にはおおまかな整備方針が打ち出されるもよう。
市では、市内でこれほどの用地を確保するのは困難なため、貴重な用地の活用法については充分検討を重ねていく、としている。
領家下水道処理施設の撤去は周辺の幹線整備で、同処理分区内を横断するようにこのほど完成した領家汚水幹線(φ1、650mm、L3、600m)や同線と接続する県施工の南部第6準幹線も完成したほか、今年度に一部発注を残している芝中継ポンプ場が14年度に完成すると、各幹線の供用が始まる。これにより、同処理分区の汚水は南部幹線を経由して荒川終末処理場に入る。
領家下水処理場は、キメ細かなメンテナンスを施しながら、順調に稼働していたが、これらの幹線網整備で、廃止されることになった。なお、同処理場に隣接するし尿処理施設は今後も稼働を続けていくという。