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東大が環境頻度バイオームを計画/かずさ地球環境拠点形成プロが始動

2008/01/28 日刊建設タイムズ

 県は、今年度から東京大学と共同で「千葉県・東京大学かずさ国際地球環境研究拠点形成プロジェクト」として地球環境とバイオテクノロジーの融合領域の共同研究プロジェクトを開始した。同大が県のかずさアカデミアパーク内(君津市・木更津市)に「東京大学かずさ地球環境研究拠点」を設置し、かずさDNA研究所などと共同で生物資源の有効活用などの研究を進める。同事業では、同大が「環境頻度バイオーム」という大型環境制御実験施設の整備を計画している。

 同拠点では、東京大学大学院新領域創成科学研究科の環境学研究系、生命科学研究系の教授を中心に、①生物資源(DNA、微生物)の有効活用②地球環境動態③植物のゲノム情報を活用した育種活性化、などの共同研究を行う。現在は研究員4人が常勤している。

 環境頻度バイオームは、「ミニ地球」と呼ばれる人工の大型環境制御実験施設を建設し、その中で、熱帯、亜熱帯、温帯、寒帯などの地球上の生態系を再現する。

 地球温暖化では、植生の移動速度が温暖化の速度に追いつけず多くの種が絶滅することが危惧されている。同施設内では、長期的な気候変化を短期間に加速的に連続して行うことができ、生態系の変化、生物多様性の変化などの詳細な観察が可能となる。このため、地球環境問題、食糧問題、バイオテクノロジーなどの広範囲な研究を行う施設として、地球規模の問題解決策として期待されている。バイオームは「生態系」「生物群系」という意味を持つ。

 同研究科の計画する環境頻度バイオームは、長さ200m、幅50m、高さ40mのドーム型施設で、面積は延べ1万㎡に及ぶ。同研究科では100分の1の模型を作成し、環境制御に関する実証実験を行っている。今後は10分の1程度のプロトタイプ模型を製作し、環境制御・省エネ対策、利用法などについての最終的な検証・確認実験を行う。

 ただ、同施設建設には100億円を超える事業費が必要と見られ、資金の確保が最大の課題となる。このため、今後は千葉県との連携を強化するとともに、国や民間企業などに協力を要請していく考え。また、啓蒙・広報活動、サポーターづくりなどの活動も積極的に展開する。

 なお、同構想では当初、柏キャンパス内への立地を計画していたが、敷地の地形などに問題があることから、かずさアカデミアパークを候補地とした。バイオームの類似施設としては英国の「エデンプロジェクト」があり、アカデミアパークのある上総丘陵が同施設のある場所と類似していることから選定した。

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