茨城県水戸市の那珂久慈流域下水道参入を受け、市の処理場予定地だった場所とそれに隣接する(仮)東水戸文化公園の計画地を合わせた約18・5ha(浜田・渋井町地内)について、今後の土地利用策を検討してきた「浄化センター南系列計画地等土地利用検討委員会」(会長=佐藤守弘常磐大学教授)はこのほど、基本構想をまとめた報告書を岡田広水戸市長に提出した。
それによると、土地利用の基本的な考え方として「地元や市民に有効で福祉向上に大きく寄与できる公益性の高い公共施設の立地」を提示。施設については、体育施設、運動広場、公園広場、教育・福祉施設などの複合施設を中心とし、それらの複合的な利用も含めた整備を進めることを提案した。
市では報告書を基に、今年度に土地利用の基本計画を策定し、具体化を図っていく方針。
同委員会が検討した場所は、東部浄化センター(南系列)として計画され、市では、隣接する(仮)東水戸文化公園の計画地とともに用地取得を進めてきた。
しかし、流域下水道への参入によって浄化センター建設の必要性がなくなったため、今後の土地利用策を検討することになり、昨年末に、地元代表や関係機関の代表、学識経験者などで構成する同委員会が発足。このほど検討結果をまとめた。
それによると、市民福祉に寄与する公益施設の立地を基本とし、自然環境の保全にも配慮するとともに、大洗鹿島線東水戸駅や国道6号、国道51号に近接する立地の優位性を踏まえ、多様な交流を創出する複合的な施設の整備を提示した。具体的には、総合体育館や運動場、福祉センターなどを想定している。
また、今後の課題として①地区の東側を流れる新川の改修促進②土地の整理手法などの検討-などを指摘。
そのため、整備目標を短期的および中・長期的なものに分離。短期的には、土地がまとまっている部分の暫定的整備を推進し、中・長期的には、施設内容が決定したうえで整備を進めるとともに、段階的な整備や民間活力の導入なども検討が必要、とした。
報告書を受け、市では今年度に土地利用の基本計画を策定する。また、水戸市議会でも「東部浄化センター用地等土地利用対策特別委員会」(委員長=田口文明議員)で検討を重ねており、それらと整合性を図りつつ具体化を目指していく。
報告書の概要は次の通り。
【利用施設の整備構想案】
▼体育施設=全市民が利用できる総合的な体育施設。総合体育館(屋内運動場、屋内プール、武道場)、グラウンド、合宿所
▼運動広場、公園広場=軟式野球(ソフトボール)場、テニスコート、バドミントンコート、ゲートボール場、公園(芝生)広場
▼教育・福祉等複合施設=公民館(防災的な機能も含む)、老人福祉センター、老人福祉施設(民間等含む)、身体障害者・知的障害者・精神障害者福祉施設など、交流広場
【今後の課題等】
▼河川改修の促進=当該地と隣接する新川は未改修なため、現時点での当該地の大規模な造成は、大規模調整池の設置などが必要であるため困難である。したがって、河川の早期整備に向け、県(管理者)との調整が必要である。
▼土地整理手法等の検討=約18・5haのうち市の取得済みは約10・3haで、用地も散財しているため土地を集約整理する必要がある。
【今後の整備目標】
▼短期的な整備目標=河川改修の課題を解決するまでの期間は、基本構想に即した暫定的な土地利用に向けた整備を推進する。暫定的な土地利用を図る施設は、取得済み用地のまとまった部分を基本とし、地域住民が利用する運動広場、公園広場が適当と考えられる。
▼中・長期的な整備目標=基本的な構想に基づき、具体的な施設の内容および土地の集約方法などを決定したうえで整備を進めるものとし、整備にあたっては段階的な整備や民間活力の導入などが考えられる。