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既存宅地制度廃止で、県独自の特別経過措置

2001/05/21 日本工業経済新聞(茨城版)

 都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律が5月18日施行された。これにより、既存宅地確認制度が廃止され、茨城県では独自の特別経過措置として、非自己用建築物の取扱い基準に加え、今回新たに向こう3年間は従来の既存宅地に該当するような土地について「臨時特定既存宅地制度」を設け、宅地要件や予定建築物等を限定して許可の対象とすることに決めた。

 臨時特定既存宅地制度の概要によると、旧法では既存宅地と見なされる土地のうち、線引き以前から現在に至るまで、居住または業務で使用している土地を対象に、建築物の用途は住宅系として1戸建て専用住宅・併用住宅・共同住宅に限る。許可期間は、法施行後3年間で、建築工事の着手は法施行後5年以内とする。

 新たな許可基準(包括承認基準9・〈臨時特定既存宅地における建築行為等の許可の取扱いについて〉は次の通り。

 ● 目的

 改正都市計画法により、平成13年5月17日をもって既存宅地制度が廃止されることに対応する時限措置として、線引き日以前から宅地として利用されている土地における建築行為等について、許可基準を定めるものである。

 ● 適用の範囲

 この基準は、市街化区域に隣接または近接しており、かつ、市街化区域と一体的な日常生活圏を有している50以上の建築物が連たんしている集落内に存する次のいずれかに該当する土地(「臨時特定既存宅地」という)において行う建築行為等で法施行日から3年以内に許可申請を行い、法施行日から5年以内に工事に着手するものについて適用する。

▼土地登記簿上の地目が線引き以前から継続して宅地であること。

▼線引き日以前から継続して建築物の敷地として利用されてきたことが明らかであるもの。

 ● 建築物の敷地の判断

 建築物は、次のいずれにも該当し、かつ、直近5年以内の課税証明が得られるものであること。

▼線引き日以前から建築物(線引き日以後に当該建築物を増改築または用途変更したものを含む)であることが、次のいずれかの方法により証明できるものであること。

 ◇線引き日以前に建築物が登記されていること。

 ◇課税証明書に建築年度が明記されており、それが線引き日以前であること。

 ◇線引き日直近の航空写真により建築物が確認できること。なお、線引き日直後の航空写真の場合には、建築確認通知または農地転用許可日が線引き日以前であって、線引き日以前に建築されていた蓋然性が極めて高いと認められるものであること。

▼次のいずれにも該当しない建築物であること。

 ◇用途、規模または構造上建築確認が不要なもの。

 ◇豚舎、鶏舎等の畜舎。

 ◇農業用物置等で小規模なもの。

 ◇主たる建築物と用途上不可分の関係にあるような付属建築物のみのもの。

 ● 申請に係わる土地

 申請に係わる土地は、次のいずれにも該当するものであること。

▼建築基準法第42条第1項道路に面すること。ただし、自己の居住のための1戸建専用住宅の場合を除く。

▼排水を敷地外に放流でき、その旨の同意等があること。ただし、自己の居住のための1戸建専用住宅を除く。

▼従前の建築物の敷地を法施行後に分割する場合には、最低敷地面積を300㎡以上とする。

 ● 申請に係わる建築物

 申請に係わる建築物の用途は、住宅(1戸建、長屋建)、共同住宅、寄宿舎、下宿とし、次のいずれにも該当するものであること。ただし、兼用住宅の場合は、第1種低層住居専用地域内で認められる用途のものであること。

▼予定建築物の規模は、建ぺい率は50%以内、容積率は100%以内であること。

▼建築物の高さは10m以内であること。ただし、3階建て以下で第1種低層住居専用地域の基準(建築基準法第56条及び第56条の2)を満たす場合はこの限りでない。

 ● 駐車場の設置

 通常、駐車場が必要と認められる建築物の場合には、敷地内において十分な駐車場が確保されること。

【附則】

 ▽この基準は法施行日(平成13年5月18日)から施行する。

 ▽1戸建専用住宅を目的とする開発行為を行う場合にあっては、提案基準10で取り扱うものとする。



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