国土交通省社会資本整備等担当の筆頭副大臣に就任した佐藤静雄氏は21日、専門紙記者会との新任会見に臨み、「小泉内閣は構造改革内閣なので全てに頭を切り替えてやっていきたい」と抱負を述べた。道路特定財源については「目的税なので道路に限定すべき」との考えを堅持するとともに、国民の合意や党内調整が先決との考えを表明。さらに、10年後の道州制導入議論を睨んで、これからの10年こそ生活や産業関連の基盤整備が必要であると強調、地方への公共投資の必要性を訴えた。
ゼネコンの合併、再編問題については、「(再編に)もし、企業が努力しないのなら公共事業への参入を制限してもよいのではないか」と応え、大手、中堅企業の再編を短期間に進めるべきだと促した。また、公共事業の今後のあり方や見直しについては、景気回復、経済効果を考えた上で、経済の波及効果、民間活力の活用を増やすべきであり、効果的でないものは止めてもよいと語った。
1問1答は以下のとおり。
--新任の抱負について
1つは国土交通省のあらゆるところ(4省庁再編の)利点を最大限に生かしてやっていきたい。もう一つは、小泉内閣は変革内閣、構造改革内閣なので、自分達の行ってきたことを振りかえってみよう。過去に正しいと思ってやったことが、本当にいま正しい状態なのかどうか、また、これからやろうとすることに対しても、頭を切り替えてやっていきたい。
役所は過去の経験主義になりがちなので、過去にやってきたものを変えられないものかどうか。ただ、小泉内閣は、現状を変えるだけというものではなく、一方、良さの見直しも改革の一つだと思う。自分達のやってきた良さを取り戻すのも改革だと思う。ここが小泉内閣の大きな狙いだと思っている。
例えば、都市の再生。都市再生は新しいものと良いものを取り戻し再生すること。これを頭にいれながらやっていきたい。
--道路特定財源含め、今後の社会資本整備の方向性について
道路特定財源は利用者が、道路がより良くなるために、目的税(揮発油税等)として税金を納めているので、道路以外の別の使途拡大は、納税者が納得できないのではないか。「もう道路は止めてもいいのではないか」という議論になるのはおかしなことだ。納税者に配慮したものにすべきだ。国民の合意を得た後でないと難しい問題だ。
道路は地方での整備が遅れている。高速道路などネットワーク化して初めて効果を発揮するもの。まず(自民)党内で調整を行うことが先決だ。その一方で、高速料金を安くするなどの工夫をしてみた方がよいと思う。
他方、地方の話しが出たが、10年後は道州制導入の議論が沸いてくると思う。平成17年で市町村合併が終了し、その後は道州制導入に替わろう。こうなれば、地方同士の闘いで、日本の活力を見い出すことになる。それまでに、生活や産業に関連する基盤整備を急がなければならない。これからの10年は、そういう意味で大切な時期に入ってくると思う。
--公共事業の今後のあり方、見直しについて
一方で経済対策、他方で構造改革(見直し)という2つの難しい課題があるので、景気回復、経済効果を考えないといけない。民間資本を誘発できる活用や公共施設を短期間に造って経済の波及効果、民間活力の活用を増やすべきだと思う。効果的でないものは止めてもよいと思う。そのようにメリハリを極端にはっきりさせた方がよい。
--公共事業の再評価については
道路や河川など全体を見るより、箇所や個別で判断したほうがよい。地方の目的を見ながら評価したほうがよい。6月には再評価の方向性が出せると思う。
--ゼネコンなどの建設産業再編策への取組みは
合併、再編の方向に行ってもらいたい。当然いくべきだと思う。もし、企業が(合併や再編に)努力しないのなら、公共事業に参入できないものにしてもよいのではないか。大手、中堅は積極的に、短期間に再編に取り組んでほしい。一緒にセーフテイネットも整備してもらいたい。
--今後の住宅・不動産政策について
高齢化社会を迎え、高齢者向きの住宅やマンション、アパート、ケアハウスの建設は非常に大切になってくる。従来の建設業者が積極的にマンション経営に参入して需要を増やすべきだ。未来事業に積極的に取り組むべきだと思う。
〔筆頭副大臣〕佐藤静雄(衆議院・北海道4区)。昭和16年10月9日生まれ。59歳。高崎経済大学経済学部卒業(昭和39年3月)。41年4月衆議院議員福田赳夫秘書、61年7月衆議院議員初当選(第38回)、平成11年10月自由民主党副幹事長、衆議院建設委員会筆頭理事。災害対策・国土・社会資本整備担当。