川口工業総合病院(川口市青木1-18-15)の建替え計画が、3日に開催された第114回川口市都市計画審議会の報告で明らかになった。同病院を経営している川口工業健康保険組合が、老朽化している病院の改築を断念し、経営の移譲により、病院の新築を図ることにした。移譲先は、福岡県飯塚市で1116床の麻生飯塚病院を経営する㈱麻生を主体として設立する新医療法人で、今秋の移行を予定している。新施設は、駐車場と組合事務所のある敷地東側に病院棟、南西側に高さ約100mの住宅棟(高齢化対応)を配置する計画。これに伴い、高度利用地区の適用、地区計画の策定、防火地域の設定を市に要請した。今後、市では年内の都市計画決定に向けて、作業を進めていく。
昭和34年に開業した川口工業総合病院は、病床数199床の規模で、4階建ての病棟と2階建ての診療棟を設置しているが、一番古い建物は築49年を経過しており、老朽化が顕著になっている。現敷地面積は6857・26㎡。
そこで、経営母体の川口工業健康保険組合は、この数年来、病院の新築事業計画を検討してきたが、健保を構成する市の地場産業である鋳物・機械産業自体の衰退のため、多額の資金を必要とする病院新築を断念せざるを得ず、経営を移譲することにした。
移譲先の㈱麻生グループは、セメントおよび生コンクリート製造販売事業のほか、日本でも屈指の規模と質を誇る民間病院(飯塚病院)を核とした健康・医療・福祉関連事業、九州最大の規模を持つ人材派遣関連事業、コンピュータ・ソフト開発関連事業、建設・商社関連事業、地域開発関連事業、環境関連事業など幅広い分野で事業を展開している。
同組合から㈱麻生への病院経営の移譲については、すでに基本合意に達しており、新しい医療法人の設立が見込まれる今秋には、契約が交わされる見通し。
新施設の建設計画は、敷地東側に高さ約30mの病院棟(病床数199床で変更なし)を新築した後、病院機能と入院患者を移してから、既設病院棟を解体した跡地の西側に、高さ約100mの住宅棟を建設し、病院と機能連携した高齢化に対応した住宅・住環境を整備する方針。駐車場については、当初、敷地の北側に高さ7m程度の立体駐車場を計画していたが、近隣住民に配慮して、平面駐車場と地上平面・地下1層の地中機械式駐車場に変更している。
この整備に伴っては、現地が準工業地域・特別工業地区で、建ぺい率60%、容積率200%になっていることから、高度利用地区の適用により、容積率の最高限度を350%に引き上げることなどを市に要望した。条件としては、住宅棟と病院棟の敷地で、面積の10%以上の広場等整備、公道沿いに幅員4mの歩道状空地の整備、病院棟敷地の建ぺい率を10%低減することが示されている。
都市計画変更に係る今後のスケジュールは、市が7月メドに原案の説明会を開催した後、原案の縦覧を行い、本案の縦覧を11月メドに実施して、12月の市都市計画審議会に諮り、承認を得て計画決定の告示を行う予定。
【図=施設配置のイメージ図】