15年2月に完成するSKIPシティに県工業技術センターおよび産業振興センターが設置されることに伴い、埼玉県川口市芝下地区の現工業技術センターが廃止される。同センター跡地約1・4haの利用法について地元川口市はこれまでに、芝下地区土地利用基礎調査を実施。公園、福祉、医療、文化施設などの住民要望とともに、市が4案の利用方向性を打ち出している。庁内では、跡地利用調整会議が設置されているほか、昨年度には、岡村市長が県に跡地の有効活用について要望書を提出している。しかし、現在は主だった動きはなく、計画が具体性を帯びてくるのはSKIPシティ完成後以降からとなりそうだ。
埼玉県内には現在、川口市に工業技術センター、さいたま市に南部研究所、熊谷市に北部研究所が設置されている。
15年に竣工するSKIPシティの新センター設置後は、川口、さいたま両市の施設を廃止し1所1研究所体制とする。
県によると、15年度以降に廃止される両施設の跡地利用は未定。しかし、川口市は、立地条件、周辺環境などから貴重な公共空間と捕らえており、周辺住民約700人を対象にアンケート調査を実施している。調査は、跡地利用の最終的なイメージをまとめるものではなく、整備の方向性を確認する基本構想レベルで仕上げられており、次段階のための前提条件整理に止まっている。
住民意見の主なものは、防災機能を保持した緑地や福祉施設、レクリエーション、スポーツ施設、病院・診療所といった医療施設ほか、斎場、行政関連事務所、文化施設など多岐にわたっている。
一方、市は土地の有効活用を図る観点から、より広い視点から検討が行われ、土地の高度化利用を図る「複合立体施設案」、オープンスペースとバランスを取りながら施設を整備していく「単一低層施設案」、全体をオープンに利用する「緑地空間案」と、跡地周辺と一体的に高度利用を図る「周辺敷地活用案」--の4つの利用方向性を打ち出している。
このうち、地元の意向を中心に検討していく場合、公共施設の乏しい密集市街地における市民利用施設として、公園や集会所などのコミュニティ施設案が挙げられている。
また、既存施設が県所有という観点からは、市の意向を提示しながら、県に事業推進を要望。県事業として不可欠な広域的機能を持ちつつ、地元ニーズにも応えられる施設が必要で、公園、広場的な機能が考えられる。このほか、市、県との複合施設案が浮上した場合は、複合パターンの検討が必要、としている。
さらに、全市的な視点からの検討では、庁内関係部局での利用構想を明確にした上での位置付けが必要になってくる。整備の方向性で現状の敷地面積では不十分となった場合、芝児童交通公園との一体化などが考えられる。
市は、緑と周辺環境、防災機能ほか、既存センターから近い産業道路を生かしながらの整備方針をまとめるため、庁内で調整会議を設置。
現在は、社会的情勢の変化などで、当時の調査結果がそのまま反映されることは難しく、さらに検討を進めていく方針だが、現状ではこれといった動きはなく、川口市長が要望書を県に提出した程度という。
工業技術センター(川口市芝下1-1-56)は昭和38年に建設。敷地面積は1万、877・19㎡。本館がRC造2階建て、延べ床面積2、318・19㎡ほか、共同研究棟、機械、鋳物、鍍金、熱処理、アイソトープ各棟などを合わせた総延べ床面積は4、999・21㎡。
なお、県労働商工部は、川口市内で工事が進むSKIPシティ内に設置される工業技術センターおよび産業振興センターの第1回整備委員会を12日、ワシントンホテルで開く。検討内容は、15年度に業務を開始する新センターの施設概要、運営計画など。