茨城県が那珂町への誘致に名乗りを上げている「国際熱核融合実験炉」(ITER)計画で、今月開かれた原子力委員会(藤家洋一・委員長)が国内候補地の選定調査を実施することに決めた。今後は、科学技術庁で国内サイトの調査が始まり、8月ごろに候補地が決定する。
アメリカが議会の承認を得られず脱退したITER計画は、日本、EU、ロシアの3極が共同で核融合エネルギーの実用化に向けた実験炉を建設するもの。
今年度のITER誘致のための国内調査費は約1億円。国内誘致の是非を審議する原子力委員会ITER計画懇談会では5月の会議で「計画に主体的に参加するだけでなく、設置国になることの意義が大きい」とする最終報告書を取りまとめ、6月5日の委員会で「ITER計画懇談会の報告書を尊重して推進していくことが妥当」と結論付けた。
国内では、茨城県の那珂町、北海道苫小牧市、青森県六ケ所村の3箇所が誘致を表明した。海外ではフランスのカダラッシュが原子力庁を中心に誘致を検討。カナダのクラリントンでは民間非営利会社のITERカナダが連邦政府に対しサイト誘致の提案書を提出しており、政府で判断中だ。
今年1月に提示されたITER最終設計書案によると、建設費は約5、260億円から5、290億円。仮に日本で建設した場合約10%の増加が見込まれ、この他に附帯的設備、立地地点固有の経費等が必要となるという。
昨年12月に終了した、建設のための非公式政府間協議の内容によると、コスト負担のほか、研究環境で資材・機器、通貨の国際的移動を容易し、外国人研究者の長期滞在を可能にするための魅力ある生活環境の整備や、ITER事業体を国際法人として設置することなどを取り決めた。
国土交通省関東地方整備局は新築工事で、工事監理業務を委託するにあたり実施設計を手がけた設計事務所とは分離する方式を今年度から採用する。現在、営繕事務所を通じて管内419者に行ったアンケートを集計するとともに指名選定のあり方や対象業務をリストアップし順次着手していくことを明らかにした。
設計事務所と工事監理業務の分離発注は、実施設計を手がけた事務所と実際に工事を監理する事務所を別にすることで第三者の客観的な視点での監理をすることでよりよい品質管理を行える可能性が高いことなどから導入するもの。監理業務は設計者の意図を伝達する業務を負う。例えば、図面では表現しにくい設計者の意図とは色彩伝達などがある。色彩伝達は施工段階で初めてイメージのわくもので、その他設計の補助業務など。監督業務は会計法上公務員以外できないため、職員が実施する。
工事監理業務について1、240者の登録名簿のうち技術力、管内に拠点をもっており、さらに共通仕様書に精通しているかといった基準に見合う419者を対象に1過去の実績2監理技術者数3設備も含めた監理の自信はあるか4どのエリア希望かなどのA4で4枚のアンケートを行い277者から回答を寄せられた。委託はすべて営繕事務所の指名入札になることから、回答を早急に分析し選定にあたっての基準などをまとめていく。
対象業務は新築工事である程度の規模をもつこととしている。改修や増築などは月1回程度の監理しか必要としないこともあり各営繕事務所が直営で監理する。
対象業務数と第一弾の着手時期を詰めており、今年度の新築工事の発注を待つと遅くなるため、場合によっては12年度末に発注しまだ基礎段階の墨田公共職安新築工事も対象とすることを示唆した。