埼玉県とさいたま市は29日と30日の2日間、さいたま市西区の市営指扇住宅で『被災建築物応急危険度判定模擬訓練』を行った。同訓練は継続的に行っているもので、主催者は当初200人程度の参加者を見込んでいたが、予想を上回る参加希望者があり、市など公共機関の参加者を絞るとともに民間建築団体からの希望者を優先させ、2日の4回に分けて訓練を行うなどの対応を取らざるを得ないほど応急危険度判定への関心の高さを伺わせた。
主催者を代表してあいさつに立った県建築指導課の沖本震災対策・福祉のまちづくり担当主幹が「被災時には判定士皆様の経験と知識が非常に重要になってくる。経験を積むためには実際の被災地に入ることが最も有効ではあるが、現実問題としてそうはいかない。そこで模擬訓練で皆様に経験を積んでいただこう-と言うのがこの模擬訓練の趣旨です」と趣旨説明を行い、中越地震などで自身が経験の必要性を痛感し、疑似体験を通して非常時に備えてもらいたいとした。
さいたま市建築総務課の遠藤補佐も同様にあいさつし「被災した場合倒壊の可能性が高い木造平屋の建物を用意し、訓練していただく。今日の訓練が実のあるものとなるよう願う」と語り、判定士としての活動は建築技術者として社会貢献できる1つの方策-とした。
約1時間の座学の後、重機などであらかじめ傾けておいた市営住宅で実際に判定機材を使いながら実地訓練を行った。参加者は2人1組となって真剣に危険度判定を下していた。
【写真:倒壊しそうな建物で模擬訓練を行った】