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国土交通省北陸地方整備局(建設)

適正価格での発注必要/総合評価の哲学理解を/小池幸男企画部長インタビュー

2008/08/06 新潟建設新聞

公共工事品確法の施行から4年目を迎え、総合評価落札方式の入札が増加するなど価格以外に企業の技術力も評価した落札者選定方法が浸透している。公共事業費が減少を続ける中、真に技術と経営に優れた企業が生き残る時代において、変わり行く入札制度への対応が建設業者に求められている。そこで弊紙では書中特集として、国土交通省北陸地方整備局の小池幸男企画部長にインタビューを行い、改めて建設業界の現状と、適切な発注方式に向けた方策等を伺ったほか、県内自治体の入札制度改革への取組み状況をまとめた。

―建設業界を取り巻く現状について

小池 公共投資の減少によって北陸管内では、ピーク時の半分位まで投資額が落ち込んでおり、建設業界は厳しい環境にある。大変憂慮すべき状況であり、管内では地元の大手建設会社が立て続けに民事再生手続きを行うという状況も発生している。そういう背景がある中で、低価格による受注競争が、ここ数年来で急激に起きている。

―現状における問題点は何か

小池 大きく三つの点で問題がある。一つは、技術と経営に優れた企業が淘汰され、公共工事の品質低下が懸念されること。二つ目は、下請けへのしわ寄せの懸念で、労働条件の悪化、安全対策の不徹底による品質と技術力の低下を危惧している。三つ目は、品質の低下により、将来における国民の安全・安心を確保できない恐れがある。

―品質低下を防ぐためには何が必要か

小池 適正な価格での発注による品質の確保を図ることが重要であり、まずは一般競争入札と一体的に総合評価落札方式を導入する必要がある。そして、低価格での受注競争を招く予定価格の事前公表を取りやめていくべきである。さらに、低入札調査基準価格の設定を的確に実施する。これらの点を踏まえて、総合評価落札方式を充実させていくことが重要になる。

―北陸地方整備局が実施している総合評価落札方式のポイントは

小池 今年度からは、総合評価落札方式のタイプを①簡易型②標準Ⅰ型③標準Ⅱ型の3タイプに見直しを行った。これは実態に合わせた工事の難易度、規模に応じた適正な形でのタイプ分けを行ったということ。また、評価項目についても地域の実態を踏まえた形で新たな項目を入れ込み、点数も変更している。そして、施工体制確認型における審査方法も見直しており、低価格入札の可能性がある部分については、徹底した対策を行うことで、低価格入札の防止を図っている。単に総合評価を行うというよりは、施工体制の確認を徹底することが大事であって、少しでも適正な価格で発注するという前提を踏まえた場合、相当厳しく施工体制を確認し、低価格入札による受注を許さないという姿勢が大事。それがなければ、総合評価があっても調査基準価格を上げているだけの話になり、ボーダーライン上での競争だけになってしまう。

―施工体制確認型の県への導入について

小池 我々がある程度、先導的に様々なものにチャレンジし、道を開き、情報を提供することで、県でも導入しやすい環境を作ることが役割だと考えている。

―北陸管内では総合評価落札方式の実施率が19年度末で約70%(全国は29%)と高いが、未導入の自治体もある。また、導入の拡大に向けた課題も多い

小池 対象となる構造物の規模や難易度が違うので、一概に(整備局と)同じやり方にはならないし、業者のランクも違う。ただし哲学は同じであるので、まずは哲学の部分を理解して欲しい。建設業界の方でも、技術の研鑽に励むようになる。しかし、完全というものはないので、我々としては、課題をいただく中で、改善するところは改善していく方針だ。

―自治体に対する支援の具体例は

小池 方式が複雑で、分かりにくいということもあるため、自治体向けに積極的に説明会を開いたり、相談に乗っている。新潟県内における総合評価落札方式普及に向けた具体的な支援策としては、18年度に自治体職員を対象とした説明会を3回開催したほか、19年度には「各自治体において最低1件試行」という具体的な目標を達成させるため、試行に消極的な自治体に対しては首長への説明(1市1町)と、ヒアリング(10市町村)を実施した。また、自治体職員の技術力向上を目的として、直轄工事検査への臨場立会研修や技術マネジメント研修を実施。さらに19年度には、自治体の総合評価審査委員への参画として、整備局の職員(事務所・技術副所長)を12市町へ派遣している。今後もさらに取り組みは進める。

―コンサルタント業務でも総合評価落札方式を試行しているが

小池 コンサルタント業務においても従来の価格だけの競争をやめ、企画競争を取り入れている。その流れの中で総合評価方式も考えていこうということ。

小池 19年度は地質調査と詳細設計で5件を試行したが、20年度については40件を試行する。内容的にも少し幅を広げて、測量作業、環境調査、補償調査、工事管理などを加えて実施したいと考えている。

 また、簡易公募型プロポーザル方式の対象を、2千万円以上に引き下げたほか、選定方法やプロセスについて第三者チェックを取り入れている。さらに、若手技術者が参加できるようプロポーザルの仕組みや、地域精通度を適切に設定するなど、実績がなくても意欲があれば受注の可能性があるという道を探っており、門戸を広げることで、全体の活性化を図りたい。

―北陸地方整備局では建設業界を取り巻く環境改善にも積極的に取り組んでいるが

小池 今年の5月~6月にかけて、工事におけるトラブルをなくし、施工が円滑に進むことを目的に、いわゆる4点セットのガイドライン(土木工事条件明示の手引き、土木工事設計図書の照査ガイドライン、土木工事設計変更ガイドライン、工事一時中止に係るガイドライン)を官民協働で作った。官民協働で作り上げたのは全国でも北陸だけ。ガイドラインを上手に活用してもらうとともに、より良いものにしていただきたい。

―ワンデーレスポンスについて

小池 品質の高い成果を確実に得ることと、問題解決の迅速化を図るため、ワンデーレスポンスを試行している。19年度は23事務所・28件の工事で実施した。フォローアップのためのアンケート調査結果では、受注者側からの評判が非常に良いことから、今年度は117件をピックアップし、各事務所の主任監督員が1件以上行うことにしている。前年度比で言えば4倍以上になる。

―その他の取り組みは

小池 発注者、設計者、施工者がお互いの意思疎通を図り、様々な課題に対処するための工事連携会議も積極的に進めている。18年度には121工事、19年度には289工事で実施しており、今年度は約300工事で実施する予定となっている。

 また、今年3月には初めての試みとして、現場からの声を聞く会を開いた。受注者側の現場代理人や管理技術者を集め、我々整備局の係長クラスと率直な意見交換を行った。現場からの生の声は、我々としても大いに参考になるので、今後も引き続き開催したいと考えている。やはり大事なことはお互いの意思疎通であり、建設環境や現場の改善に繋がっていく。働きやすい、生きがいのある職場環境に向けては、ハード・ソフト両方の対策が必要だろう。

―最後に、発注者と建設業界とのパートナーシップについて

小池 我々の仕事は、良質な社会資本を造り、それを国民の皆様に提供することが大事。そのために整備局があり、健全な建設業界がある。これは両方がしっかりしていなければ本来の目的は達成できない。双方が厳しい環境にあるが、非常に崇高な仕事を実現するためには、お互いに頑張っていく必要がある。

 特に北陸地域は、古代から非常に自然環境の厳しいところであった。新潟県にしても、悪水や洪水との戦いの中で、大河津分水を造り、港やトンネルを造ることで素晴らしい地理的な優位性を保つよう努めてきた。これは、すべて今我々が行っている土木事業であり、社会資本としてのインフラ整備である。

 それをやってきたのは誰かと言えば、我々行政であり、建設業界の皆さんの諸先輩方が築き上げてきたもの。その道をしっかりと守り、今後の未来、子々孫々に対して、良質な社会資本を提供していく役割を担っているのが我々行政と建設業界である。今は苦しい状況にあるが、健全なパートナーシップを組む中で、整備局として何ができるのか、課題の解決に向けた改善に努めて参りたいと思っている。


【こいけ・ゆきお】

 昭和31年生まれ。群馬県出身。北海道大学(土木)卒。建設省道路局企画課建設専門官、関東地方建設局甲府工事事務所長、豊田市助役、国土交通省都市・地域整備局大都市圏整備課関西文化学術研究都市建設推進室長、徳島県県土整備部長などを歴任し、今年4月より現職。趣味はタウンウォッチングで、最近は自転車で新潟市内を探索中という。


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